2011年7月4日月曜日

原子力発電所の水素爆発について メモ34

忘れられた非常用復水器

今回の事故ではベントを行うためのボンベの圧力が足りなかったことが分かりました。
(メモ 27 28 30 参照)
ボンベとコンプレッサー(空気圧縮機)の関係は
ボンベの圧力が減ると自動的にコンプレッサー(空気圧縮器)が働きベントができる状態を保ちます。
またボンベ圧力の確認は、ベントが可能であるか毎時間確認されるべき保守業務です。
それが、数年単位でなされていなかったと思います。数ヶ月単位ならボンベの圧力は健全だったと思います。
こうした原子炉の健全性を保とうとする業務がなされていなければ、メルトダウンを起こすのは当然のことです。

メモ4で問題にした経緯が
東北地方太平洋沖地震発生当時の福島第一原子力発電所運転記録及び事故記録の分析と影響評価について
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110524c.pdf
(以下、事故記録と呼びます。)
にあります。

私は非常用復水器は動いた言いましたが・・・・再考してみます。

図は事故記録から得ました。
事故記録 からわかる1号機の経過は

2011年3月11日
14時47分  主蒸気隔離弁閉 非常用復水器にて制御
14時52分頃 圧力が高くなり自動起動
15時03分頃 圧力容器の温度変化55℃/hを越えないようにMO3A、MO3Bを閉
15時10分~30分頃 A系による圧力容器の圧力調整、起動操作したと推定

15時37分 全交流電源喪失

18時18分 MO2A、MO3A開操作
18時25分 MO3A閉操作
21時30分 MO3A開操作
(18時18分~21時30分 どの程度機能したか不明)(平成23年5月23日現在)

2011年3月12日
01時48分 「冷却水供給の消火系ポンプの不具合を確認」
05時46分 消防ポンプによる淡水注入
・・・・・・・・
・・・・・・・・
また「冷却水供給の消火系ポンプの不具合を確認」と同時に非常用復水器も停止しています。
メモ 4参照)

はたして、この原子炉(1号機)の安全装置はまともに働いたのか?
A系は動かしていますがB系は動かなかったことが分かります。
普段点検してれば防げるのですが、
非常用復水器は冷却水の蒸発や漏れでよく事故を起こしている所です。(メモ23 参照)

今回もたるみ事故(点検喪失)でB系は初めから動かなかったと思います。
14時52分の自動起動~15時03分のMO3Bを閉までB系の復水器は非常に危険だったと思います。
A系は消火系ポンプでいくらか冷却水を確保していたようです。
15時37分 全交流電源喪失 までは動いていたのでしょう・・・。
また、非常用復水器がどの程度動いたか不明とのことです。

東電は
「午前0時49分、原子力災害対策特別措置法第15条第1項の規定に基づく特定事象(格納容器圧力異常上昇)が発生したと判断しました。」
プレスを出しています。

この時点で冷却水供給の消火系ポンプが壊れて、
非常用復水器の冷却水は空か空に近かったことになります。

冷却水供給の消火系ポンプの不具合?を確認するのは12日01時48分です。
非常用復水器が動く(水が持つ)のは8時間と記憶してます。

全交流電源喪失は 
11日15時37分 ここで消火系ポンプは止まった思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・8時間後は
23時37分
・・・・・・・・・・・・・・・・・15条の判断は
12日00時49分
・・・・・・・・・・・・・・・・・さらに非常用復水器のMO3Aを閉めたのは
01時48分


11日15時37分から8時間以内に非需用復水器が止まることは分かっているはずです。

所長も東電本社も
消火系ポンプが動いていないことを失念しているのです。
所長も東電本社もシステムを十分に理解していなかったことになります。
11日15時37分から消防ポンプの準備をしていれば、
消防ポンプによる淡水注入が
12日05時46分
と遅れることはなかったはずです。
(どこが適切な対応なのだろう?)

「現実が信じられず、パニクって何もできなかった。」重大事故が起こる典型で、そして事故は起きた。
でなければ、15条の判断が翌日00時49分と遅れるはずがありません。
ホールドアップ塔の活性炭を燃やしてしまったケース(メモ26 参照)と同じです。
この人たちは重大事故に対応できる能力がないのです。

また、事故記録を読むと原子炉隔離時冷却系は2、3号とも手動起動してます。
原子炉隔離時冷却系さえ、まともに動かなかったわけです。
原子炉隔離時冷却系を含む非常用炉心冷却装置が正常に働くのか検査すべきです。
(3号機はバッテリーがあってもまともに動かなかった。メモ30 参照)

国(経済産業省)の無責任な「安全です」は言葉だけのうつろなものです。
安全を保証するのは、ひとつひとつの装置の健全性、保守業務の徹底、職員の技能です。

また、事故記録 にはメルトダウンやベント、海水注入について何も書いてありません。
水素爆発についても書いてありません。
人をバカにした事故記録 です。

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