2016年3月29日火曜日

気象学における状態方程式


気象学の単位系は空気1kgが基本になっています

一方、高校化学(物理?)で習う理想気体の状態方程式は

PV=nRT

ですね。

R気体定数R:8.3144598(J/K/mol)です。
nモル個の理想気体粒子には圧力Pと体積Vと温度Tにはこのような関係があります

気象学では空気1kgの粒子を用いますのが状態方程式はどのような形になるのでしょう?
これを、考えてみたいと思います

気象でも乾燥空気は理想気体として取り扱っています
一般気象学をみますと(惑星の大気 P13)地表付近の大気組成は

  成分     分子量 存在比(%)
窒素    N2  28.01 78.088 
酸素    O2  32.00    20.949
アルゴン   Ar   39.94      0.93 
二酸化炭素    Co        2 44.01   0.03

分子量ですが、例えば窒素N2NA6.022140857×1023)個あると28.01gになるってことです。
NA 個の理想気体を1モル個=1モル の理想気体と言います。
1モルの窒素N2があると質量は28.01gになります。
4つの成分の存在比を足すと99.997%ですので100%としてよいでしょう。

表から空気1モル中に
N20.78088モル=21.8724488g
O220.949モル =6.70368g
Ar0.93モル     =0.371442g
Co2 0.03モル  =0.013203g

であることがわかります、「分子量×存在比=質量」ってことです。
乾燥空気1モルの質量は28.96gってところでしょうか?
これが、乾燥空気の平均分子量です。
一般気象学(P23)では高度80Kmまで28.964とされています
オゾン層の影響はないようですね?

さて本題です
Kg1000gの乾燥空気をXモルとすると・・
X= 1000g28.964g34.5256モル

気体の状態方程式は

PV=RT=34.5256×RT

となります
V34.5256モル(空気1kg)の体積って意味ですね
これを憶えておいて下さい

気象ではRRと書き直しPV=34.5256RT
R34.5256R34.5256× 8.3144598=287.06JK/kg

と再定義します(信じられませんが・・バカじゃない?)
すると
PVRT
になってしまいます ・; ・;

これではn=1モルの理想気体の状態方程式と区別できませんね

ところで、V34.5256モル(空気1kg)の体積って意味でした
ですからVαと書き
RT
として空気1kgの状態方程式を定義します
αは比容と言うみたいです・・・

なにか良いことがあるのでしょうか??
無い!
私には奇妙な方程式を定義して、その後は複雑怪奇な議論が進行しているとしか思えません。

例えば1モル当たりのN2とO2の定圧比熱cpや定積比熱cvは同じなのですが・・
当然1kg当たりのN2O2の定圧比熱Cpや定積比熱Cvの値は違います

温位を定義する時に重要な役割をするマイヤーの関係式があります
R=cpーcv
Rは8.3144598(J/K/mol)です。

熱力学を勉強してこの関係が納得できないと温位は納得できません。


確かに
A:空気1kgの
定圧比熱Cpや定積比熱Cv、ガス定数R=287.06JK/kg
でも
CpCvR
は成り立ちます。

B:窒素(N2)1kgでも
定圧比熱Cpや定積比熱Cv、ガス定数R

C:酸素(O2)1kgでも
定圧比熱Cpや定積比熱Cv、ガス定数R

CpCvR
は成り立ちます・・;

しかし
A:空気、B:窒素、C:酸素のCpの値はそれぞれ違い、CvRも違っています
それなのに
CpCvR
は成り立っているのです

理工系の学生サンなら、マイヤーの関係式を不思議に思うわけで
熱力学と気体分子運動論を勉強して納得します
しかし納得するのは
R=cpーcv
です
??cが小文字になっていますね・・
cp、cvは理想気体1モルの定圧、定積比熱です。
理想気体とみなせば窒素と酸素のcpとcvの値は同じ値になります

興味があれば
R=cpーcvが正しいとして、CpCvRを確かめてみて下さい。

雑感
リハビリで書いてみました。
C++で気象関数を書き始め
cp、cvの値を確かめようと「一般気象学」を開いて、
「ヤッパリひどいよなあ〜」と思いました。

大気に熱が加わり等温位(等エントロピー)になるのですが、ここで、何が起こるのか理解する人は少ないと思います。

「雲は上昇流が無いとデキない」は気象学の常識ですが、誰も確かめてはいません。

等エントロピーになれば、高さによらずe/Pは一定になるはずです。
eは水蒸気圧、Pは大気圧です。
eは温度依存性が高く、気温が低くければ相対湿度が100%になるのはたやすく想像できます。
気象は温位を使いながらエントロピーを何処かに置き忘れています。

Puを作ろうとする邪悪なゾンビが隠しているってところでしょうか?

**;
マイヤーの関係式を理解するには
気体分子運動論は必要なかったかも知れません。

付録

現代熱力学(イリヤ・プリゴジン 朝倉書店)P33

T=298.15K p=1atm

化合物          Cp(Jmol) Cv(Jmol)
理想気体単原子気体     (52)R   (32)R
理想気体2原子分子気体    (72)R   (52)R
N2(g)              29.12   20.74
O2(g)              29.36   20.95
CO2(g)              37.11   28.46
H2(g)                                                    28.82         20.44
H2O(g)                                                 75.29

(g)はガスをあらわすみたいです・・;

R:8.3144598(J/K/mol)を基準にすれば
(32)R12.4716897
(52)R=20.7861495
(72)R=29.1006093
(92)R=37.4150691

CO2の自由度は9のようですね
H2OCv値は記述されていませんでした
理想気体ではないってことなんでしょうね・・
理想気体に近かったらCO2に近い値になるはずです
昔、実験でPV=nRTの関係は確認されたそうですが・・;
実験する毎にR?の値が違ってしまったなんて話を読んだ記憶があります


空気を
N278.088
O220.949
から計算すると空気のcp、cvは
cp=29.17→理論値 29.10
cv20.78→理論値 20.79
理論値を採用すしても問題なさそうです
cp=29.10
cv=20.79
R=29.10−20.79=8.31