2012年3月21日水曜日

3.止められた冷却系

1.逃がし安全弁 非常用復水器 原子炉隔離時冷却系
2.自動停止する原子炉隔離時冷却系

で見えてきたことは
原子力発電所では大地震が発生しても原子炉を
冷温停止状態にせずに発電再開に備えてアイドリングさせるのだと言うものです。
これは、原子力発電所の常識で妄想ではないかもしれません。

この観点から、事故原因について時系列的に考えてみました。

3111446分頃地震が発生します。
すぐに外部電源がなくなり、非常用発電機が動きます。
12号機では非常用発電機の電源が供給されたかは不明で、発電機が動いたのを確認しただけです。3号機では供給されました。


常識的には、非常用発電機DGを使って、低圧注水系高圧炉心注水系を使って原子炉を冷却するはずなのですが、今のところ中間報告には、ほとんどその記述はありません。

1530分頃 津波が2度到達します。
1542分 に全交流電源喪失して、15条通報します。
FAXで通報する時代錯誤の通報システムは今も変わっていないかもしれません。
ここまでの非常用発電機DGが動いていたはず。

非常用発電機が1446分頃から1542分の間のどのように使われたか妄想します。

原子炉は安全を確保するため、いろいろな冷却装置があます。
先に触れた、非常用発電機DGを使う低圧注水系高圧炉心注水系がそうです。

分かりやすいのは1号機の状態です。

1号機は1452分頃、「原子炉圧力(圧力容器圧だと思います)高」の異常事態で非常用復水器が自動起動します。
逃がし安全弁が正常に動作していれば、このような状態にはならないわけです。
そして、原子力発電所の常識に従って、一旦、非常用復水器を止め、圧力容器の圧力を67MhPaに保ちます。

中間報告では
P81
当直は、67MhPaに保とうと考えたそうです。
これはシステムが冷温停止状態にしようとしているのに人間が邪魔して危険な状態を保ったことになります。
しかも「原子炉圧力高」の異常事態を無視してのことです。

さて、圧力容器の圧力を6~7MhPaに保つとは先の、非常用発電機DGで動く低圧注水系や高圧炉心注水系を止める必要があります。

こうしたものはスクラムをすれば、自動的に動くべきものですから人間が止めたことになります。

ほとんど、原子炉冷却のために非常用発電機は使われなかったと思います。

システムには複数の冷温停止に向かう流れがあったのですが・・
原子力発電所の常識がこの流れを断ち切ったことなります。
 メルトダウンが起きて当然です。
・・・・・・・

2号と3号機はどうでしょうか?
まず、
原子炉隔離時冷却系は連続ベントしているようなもので、圧力容器の放射性物質が外に出る可能性があります。
特に3号機はプルトニュウムがあり、簡単に動かすべきものではありません・・・こうした前提があるはずなのですが・・・ 

23号機とも、直流や交流電源がなくとも動くはずの原子炉隔離時冷却系を手動でうごかします。自動ではまだ動かなかったのです。



1号機の非常用復水器と同じ位置づけの冷却装置ですから、初めから動くものではないかもしれません。
中間報告には、何故、手動で動かしたかの説明はありません。

無責任な中間報告です。

原子炉を冷却していたのは原子炉隔離時冷却系だけのようです。 

そして、原子炉隔離時冷却系だけでは十分に冷却せず、圧力容器の圧力が高まり逃がし安全弁が開きます。

逃がし安全弁が開くと 「圧力容器の圧力減」 と 「格納容器の圧力増」 となり
結果、
サプレッションプール(圧力抑制室)の水が押され、圧力容器に大量に流れこみます。

この水でポンプ用の発電機を壊さないように、「圧力容器の水位高」で原子炉隔離時冷却系は止まります。

2、3号機ではこうしたことを繰り返します。
このような危険をあえてしていたと思います。
それが原子力発電所の常識だと思います。

直流電源があるうちは、原子炉隔離時冷却系は再起動できたのですが直流電源がなくなると再起動できなくなりました。

低圧注水系や高圧炉心注水系が動いてれば、圧力容器の圧力が下がり、逃がし安全弁が開くことはなかったはずで、
原子炉隔離時冷却系が止まってあからさまにどうにもならない状態になることは避けられたと思います。

また、逃がし安全弁が開いたくらいで原子炉隔離時冷却系が止まるのは設計ミスか、点検不足の調整ミスです。

ここでも1号機と同じ原子力発電所の常識が働いたと思います。

再発電に備えて、人間が低圧注水系高圧炉心注水系を止め、原子炉隔離時冷却系だけを用いて、圧力容器の圧力を7MhPaに保ったのだと思います。

原子炉隔離時冷却系が止まったことなど、何時もの出来事で異常(危険)な状態だとは思わなかったのです。
やはり、メルトダウンして当然です。 

この妄想だけだと、地震が起きたとき適切な処置をとっていればあの事故は起きなかったかもしれません。

しかし、私は原子力発電所の再開には反対です。

こうしたことを明らかにしない中間報告は、政府や経済産業省が明らかにしないのと同じことだと思います。
つまり、政府、経済産業省電力会社の信用できない体質はかわりません。

このまま、原発を再稼働させれば事故は必然だと思います。

あの事故は原子力発電所の常識(人間の信じられない判断)も大きな一因だと思います。
 改めて、あの事故は東京電力が起こした人災だと思います。


雑感、
冬に日本海側で雪が降るのは海上の温度が相対的に高くなるためです。
雪は海上で出来上がり陸に吹き付けるのす。
私は昔、日本海側で下降流が計算されているのに雪が降るのが不思議で先輩に質問したことがあります。
答えはよく覚えていませんが、
「西高東低で陸上は高気圧圏内なのだけど、海上の雪が吹き付けて雪が降る。」
ような説明だったと思います。

真冬に福井県の原発で、今回のような事故が起これば、下降流の中、放射性物質は上空には拡散せず、北または北西風にのって地表付近をなめて流れてきます。
あっと言う間に名古屋や浜松市にも大きな被害がでると思います。
原発から滋賀県が30キロにあるなどといった考え方は全く現実的ではありません。
今回とは全く違う事象になります。
SPEEDIであらゆるケースについてあらかじめ計算しておいて、避難計画等を立てるべきです。


こんなことも「政府は隠している。」としか思えません。

前総理が静岡県の原発を止めたのは、放射性物質が西または南西風にのれば東京に大きな被害がでると考えられたからだと思います。
しかし、原発をいっきに全部止めるのは、ためらったのだと思います。
正しい判断かどうかは私には分かりませんが、現実的な選択だったと思います。

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