2012年3月26日月曜日

5.1号機の原発法第15条判断

中間報告はフェイルセーフ機能が正常(?)に働いたとした推定で検証しています。
フェイルセーフ機能とは、
  非常用復水器の圧力容器つながる管が破断すると、直流電流が流れなくなる回路があり
  ①の回路の電流が無くなると、「隔離弁を全て閉じろ」と言う命令が出ます。この命令には直流電源が必要です。
  「隔離弁を閉じろ」と言う命令を受け取ると、其々の交流モーターや直流モーターで隔離弁を閉めることになります。其々のモーターには交流電源と直流電源が必要なのはもちろんです。

中間報告は、非常用復水器が破断しなくとも直流電源が無くなると隔離弁が全て閉じると推論しています。

しかし、津波で交流電源は全て失われていますから、交流モーターは動きませんから、交流モータを使う格納容器の内側にある隔離弁は閉じません。

その前に直流電源が失われると、②の「隔離弁を全て閉じろ」と言う命令信号がでることはありませんので、隔離弁は閉じも開きもせず状態はかわりません。

そもそも、
直流電源が無くなって、非常用復水器が止まるような設計
は常識的にありえない
設計ミス
です。

そんな設計ミスメーカー責任です。


P96
原災法第15 条第1 項の規定に基づく特定事象発生の判断及びこれに対する対応

3 11 16 36 分頃の時点では、12 号機について、原子炉水位が確認できず、1 号機のIC 及び2 号機のRCIC の作動状態も確認できなかった。吉田所長は、全電源喪失に伴いフェイルセーフ機能が作動したのではないかということには思い至らず、IC RCIC による冷却・注水がなされているとは断定できないと考えた。そこで、最悪の事態を想定して、原災法第15 条第1 項の特定事象(非常用炉心冷却装置注水不能)が発生したとして、同日16 45 分頃、官庁等に、その旨報告した。

これは作り話だと思います。
少し時系列を確認しておきます。
1446分 地震発生
1447分 外部電源喪失
1527分 津波第1波到達
1537分 津波第2波到達
1542分 全交流電源喪失(10条)
1636分 非常用炉心冷却装置注水不能(15条)

1542分~1636分の間に直流電源が失われたことになります。

中間報告は直流電源が無くなってフェイルセーフ機能が働いて、非常用復水器が動かなくなったかのような印象を読者に与えています。
しかし、直流電源が無くなってフェイルセーフ機能は働きません。

P96
このような状況下では、原子炉の状態を把握するため、発電所対策本部復旧班は、原子炉水位計から順次バッテリーを接続する電源復旧作業を優先的に実施するため、同日夕方頃には、協力企業から6V バッテリー合計4 個のほか、大型バスの12V バッテリー合計2 個を調達した。

常識的にガスタービン発電機で発電していた免震重要棟に

整流器バッテリーがなかった

とは信じられません。なかったら免震重要棟の意味がありません。

発電所対策本部(免震重要棟2階)は機器の操作やこうしたバッテリー調達などの対応を現場任せにしていたと思います。
東電本店や発電所対策本部は直流電源など考えていなかったと思います。

だから、3号機はバッテリー切れになったと思います。 

具体的に東電本店や発電所対策本部が何をしたか全く見えてこないのです。

3 11 16 45 分頃、1号機について、原子炉水位計(広帯域)によると-90cm と確認できた旨の報告を受けた。
吉田所長は、原子炉水位が確認できたとして、原災法第 15 条第1 項の特定事象(非常用炉心冷却装置注水不能)には至っていない旨判断し
同日16 55 分頃、官庁等に、特定事象発生の報告を解除する旨の報告を行った。
IC の作動自体が確認できていない上、原子炉水位も低下傾向にあり、原子炉水位計による水位計測が可能で、非常用炉心冷却注水不能の疑いを払しょくできなかったと思われ、解除を行ったことについては疑問がある。

津波の前
P14から
111516分 原子炉水位計(広帯域)+910mm(TAF+4340mm
であることがわかります。
11 16 45 分頃、原子炉水位計(広帯域)-90cm=-900mm
と確認できたのですが・・・・

津波の前後1時間30分で2m近く原子炉水位が下がっています。
これで解除しますか?バカ言うな!

所長は、おそらく、原子炉隔離時冷却系RCICのように1号機は圧力容器の「水位高」で非常用復水器ICが止まらない(?)等に気が付いたのでしょう。
もっとも、FAXの筆跡をみると所長が判断したのではないのかもしれませんが・・


 その後、1 号機は、広帯域-150cm=1500mm を示したのを後に、
3 11 16 56 分頃ダウンスケールして原子炉水位が確認できなくなり、
同日17 7 分頃、発電所対策本部に旨報告した。
同日17 12 分頃 吉田所長は、原災法第15 条第1 項の特定事象(非常用炉心冷却装置注水不能)が発生したと官庁等に報告した。

同日17 15 分頃、発電所対策本部技術班は、1 号機について、炉心の露出が開始する有効燃料頂部(TAF)に原子炉水位が到達する時間まで1 時間と予測した。
この時点で、原子炉水位が約14 分間で約60cm 低下しており、1 時間後の同日18 15 分頃には炉心が露出する可能性があることを認識していたことになる。

発電所対策本部及び本店対策本部が、少なくともこの時点で、IC の「冷やす」機能が十分ではなく、代替注水の実施作業に着手する必要があることを容易に認識し得たはずであった。

しかし、発電所対策本部及び本店対策本部は、想像を超える事態に直面し、1号機から6 号機までのプラント状態に関する情報が入り乱れる中で、1 号機の原子炉水位の低下という情報からIC の作動状態を推測するという発想を持ち合わせていなかった。

?中間報告はいったい何を言っているのだろう?

炉心の露出が開始すれば、すぐにメルトダウンが始まります。
中間報告は
発電所対策本部及び本店対策本部は
 非常用復水器IC の「冷やす」機能が十分ではなく、
 メルトダウンが現実に起こりそうなのに、
代替注水の実施作業に着手する必要があるとは思わなかった。
と言っていることになると思います。

・・・・信じられませんが、事実かもしれない。・・・

事実なら、東京電力は原子力発電所など動かす資格がありません。
他の電力会社も同じようなものだと強く推測されます。

こんなので、本当に原発再稼働しようと言うのでしょうか?

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