2012年1月13日金曜日

筑波山の4つの温度 南極データをみるための再考

筑波山の4つの温度 南極データをみるための再考

大気を温めるシステムは、まず太陽光が地表を温めます。
次に地表が地表付近の空気を温め上昇させて大気を温めるはずなのですが・・
南極昭和基地のデータを見ると、何が起きているのか考えさせられます。

昭和基地では地上観測と高層観測を行っています。
1日中太陽が出ているはずの1月のデータは、大気の上昇が不思議な結果になっていました。
突飛な考え方ですが、南極は地表を冷却する力が非常に強いのではないか?
と思うようになりました。
考え方を整理するために、ここでは筑波山の気温、地表温、地温について再整理したいと思います。

1.昭和基地の高層観測結果
まずどんな所なのか確認しておいて下さい。

ペンギンさんの南極情報
によるとグリニッジ標準時間(GMT)+3時間で生活しているそうです。
高層観測はグリニッジ標準時間の0時と12時に観測されます。
南極では現地時間3時と15時、日本では9時と21時に高層観測をします。

データからは、南極の地表面が大気を暖めていないように思えます。
下のグラフは3時の観測結果による温位エマグラムと湿球温度等です。
データは1989~2010年のデータを平均したもの

下の2つのグラフは下層の温位エマグラムと気温・湿球温度・露点温度です。
湿球温度については「温位エマグラムと湿球温度」を参照してください。

温位エマグラムから地上から200メートル位まで冷気が溜っまていることが分かります。また、等湿球温度になっており、露点温度が地表100メートルで急に高くなっています。


3時と言っても南極の1月は夏で太陽が1日中見られる季節のようです。
次のグラフは1990~2011年に観測された1月の時別の日照時間の合計です。

南極の3時は昼間の半分弱の日照があるようです。


原因はわかりませんが・・
筑波山筑波山の4つ目の温度 湿球温度では昼過ぎから地表温度が下がり始めますので、日照があっても地表付近に冷気が溜まっても不思議ではありません。

問題は15時の高層観測です。


15時はほぼ日照のピークです。
高度は50メートルで丸めてありますから高さ0メートルのデータは0~25メートルの値となります。
予報官が最高気温を予想する場合、経験的に1500メートルほど等温位になるとして大雑把なイメージを作っていました。
南極でも確かに50~200メートルほど等温位になりますが・・・
地表付近の温位(≒温度)は50メートル上の空気より1kほど高くなっています。
明らかに上昇流ができていなければなりません。
しかも日照がでてから十分な時間がたっていますから、本来は50メートル上空からではなく地表から等温位になっていなければならないはずです。


不思議な現象です。

私は、地表は日照を吸収して大気を暖めるが一方で大気のほうも下層の空気を冷却する能力が非常に強くその結果が15時の観測結果になっているのではないか?
と思うようになりました。
理由はこのブログの筑波山シリーズをご覧ください。


温度の度数分布をみると

あの筑波山でも見られた不思議な三角形が出現しました。


筑波山の不思議な三角形についてもう少し整理しておいたほうがよさそうです。

2.筑波山の気温・地表温・地温再考
筑波山の観測結果で特徴的だったのは28月でした。
南極の1月がどちらのタイプあるいは別のタイプかわかりませんが・・
まず、筑波山2月の気温・地表温・地温の度数分布をみてみましょう。

観測回数(1時間に南極1回、筑波山6回)や期間の違いはありますが南極のほうがシャープです。
単純に同じ原因で不思議な三角形になると考えるのは危険そうですが・・;。


2月の三角形は地温が0度であることが原因なのは明らかです。
地表温は0度以上は温度が上がるにつれて指数関数的ぎみに出現回数が減ります。
本来、地温が地表に影響を与えるとは考えにくいのですが、
データからは地温が地表温に影響を与え、地表が気温に影響を与え不思議な三角形が出来上がると想像されます。
時系列をみてみましょう。

地表温が何故下がるのか?はさておいて、常識的にはエネルギーを受け取る「地表温」が気温や地温に影響を与えると考えるべきでしょう。

A領域は地表が「地温」を冷却していると考えられます。
「地温」が0~9時の間0℃なのは地中の0℃の水がしだいに凍っていると考えるべきだと思います。


B領域をみると1時頃から「地温」が下がりはじめます。
地表温が高いのに「地温」が下がるのはちょっと不思議ですが、
「1センチより深い地温」の影響を受け始めるのだと思います。
地中は地表の影響を受けにくいけれども全く影響がないわけではないようです。
何日もかけて「1センチより深い地温」はじわじわと0度となりこのころ(2月)は日変化ほとんどないと考えられます。
「1センチより深い地温」が冷やしていると考えられます。

C領域は地表が1.5メートル上の気温を上げています。

D領域の気温のピークは地表温より高いのは地表温が気温を上げるのに若干の時間がかかるためか、観測場所の若干の違いによるのかもしれません。

2月の地温が0度で水分が凍ったり溶けたりするために気温の三角形ができると思われます。
不思議な三角形は地温の影響が大きそうです。

不思議な三角形は8月にも現れました。
その形は1月よりはるかにシャープでした。
どうしてこうなるのか?ちょっと想像できなかったのですが・・


気温と地表温のピークの温度と出現回数はほぼ同じですので、気温は地表温の影響を強く受けていると思われます。


問題は地表が何故このような三角形を形造るのか?です。

気温や地表と比べ地温の三角形がややシャープでピークの温度も1~2℃高くなっています。
地温は地表温に影響を与えていると考えるべきかもしれません。
日変化をみて見ます。

A領域は地表面が地温を暖めています。

C領域での地温のピ-クは地表温より高く見えます?若干の時間差があるのか?それともピークが若干の時間続くと考えるべきか微妙なところかもしれません。
観測場所の若干の違いによるものかもしれません。

B領域の地温の上昇はなんでしょう?
地表は地温より低いので地表が暖めているはずがありません。
これも、1センチより深い地中が地温を暖めていると考えるべきと思います。
すると、夏じわじわと暖められた1センチより深い地温は23.1℃かそれより高いと思われます。


D領域は地表が気温を暖めています。

E領域はどうでしょう?
地表温が気温より高い領域にも関わらず気温が下がっています。
地表が気温を下げているわけがありません。
何が気温を下げるのか?
地表を冷却する「何者か」が気温も冷却すると考えるべきだと思います。
私は、目に見えない雲粒が落下してきて気温や地表を下げると想像しています。
雲粒がオーブのような大きさなら、その温度は湿球温度になると考えられます。偶然ですが湿球温度の日変化を調べると。

8月の地表温は夕方~明け方にかけて湿球温度に落ち着きました。



2月の地表温は湿球温度より低くなりますが、地表温と湿球温度の相関係数は夕方から明け方にかけ0.9以上になりました。

地表や気温を冷やす雲粒の大きさが小さいためと私は考えました。


2月や8月から離れると三角形の形は崩れてしまいます。
2月は冬型の気圧配置で西高東低、関東は高気圧圏内の晴れベース、8月は雷雨はあるものの太平洋高気圧に覆われ晴れベース。
ともに比較的に安定した気候のためかもしれません。


私の想像が適切なものか分かりませんが、一つの手掛かりになるのではないかと思います。
説明がつかない現象があれば考え直せばよいとおもいます。
南極のデータを整理するには時間が必要かもしれません。

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筑波山のデータは

データは「筑波山気象・水文観測プロジェクト」からダウンロードしました。
筑波山気象・水文観測プロジェクトのホームページ
http://mtsukuba.suiri.tsukuba.ac.jp/
データがダウンロードできるページ
http://mtsukuba.suiri.tsukuba.ac.jp/sub6.html

機器構成
http://www.weather.co.jp/mtTsukuba/drawing/mtTsukuba_gif_2.gif

気温は地表から 1.5メートル
地表温は地表
地温は地表から マイナス1センチ
の温度です。


昭和基地のデータは
気象庁のホームページからダウンロードしました。



気象学者は実際の現象をよく調べもしないで、いい加減に放射冷却とか温室効果とかの言葉を乱用してきました。
しばらくはこうした状況は続くのでしょう。
しかし、第2法則やステファン・ボルツマンの法則の物理的意味をしっかり教えられるようになればこうした言葉はなくなるはずなのですが・・・・


放射冷却について説明すべきは気象学者であり、気象庁であることは当然です。
ステファン・ボルツマンの法則は放射冷却の根拠にはなりません。


昭和基地では
雨量の観測は行っていないようです。冷たい雪を溶かすのにお金がかかるのだと思います。

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