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2011年7月5日火曜日

原子力発電所の水素爆発について メモ35

原子力安全・保安院は2011年5月24日に

東京電力「東北地方太平洋沖地震発生当時の福島第一原子力発電所運転記録及び事故記録の分析と影響評価について」に関する評価について
http://www.meti.go.jp/press/2011/05/20110524001/20110524001-2.pdf

とする評価(国民にたいする報告?)を出しています。

これは
東京電力「東北地方太平洋沖地震発生当時の福島第一原子力発電所運転記録及び
事故記録の分析と影響評価について」に関する評価について
参考
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110524c.pdf
に対するもののようです。

この報告に

3.5月16日付報告を踏まえた5月23日付報告に関する留意点及び原子力安全・保安院の評価は別紙のとおり。

とあります。

別紙の中身は
1.地震直前のプラント状況
2.自動停止
3.自動停止後の原子炉の挙動
(1) 原子炉水位
(2)  主蒸気配管破断警報の発報
(3) 原子炉温度・圧力制御
①主蒸気隔離弁の閉止
②減圧・注水措置
1)1号機
2)2号機
3)3号機
・・・・・・・
・・・・・・・
4.使用済燃料プール
5.非常用発電機の稼働
6.外部への放射性物質の漏洩
7.主要安全系設備の地震・津波による被害
8.まとめ


項目だての中にバッテリーについてはありません。
中身で一部触れて(後述)いるだけで「7.主要安全系設備の地震・津波による被害」でもまったく記述がありません。


これではバッテリーは全部健全だったことになります。
原子力安全・保安院の報告ですから驚きませんが・・・
それはともかくとして、

中身を見ていきましょう。

****************************************
(3)原子炉温度・圧力制御
②減圧・注水措置
1)1号機


メモ34で、非常用復水器には2系統あってA系しか使わなかったことを説明しました。

原子力安全・保安院は
東京電力は、常用復水器(IC)のA、B両系の停止時間が若干ずれていることから手動操作であると説明している。
東京電力は、細かな圧力制御を行うため、常用復水器(IC)のA系のみを用いて手動操作を行った旨説明している。
東京電力によれば、津波後常用復水器(IC)のA系の弁を開操作した記録が残されているが、弁の回路調査結果等によると、その開度は明確にはわからないことから、常用復水器(IC)がどの程度機能していたかについては現時点では判断できないとしている。

としています。
おそらく東電はB系の弁を閉じたままにしたことを報告しなかったのでしょう。
報告のないものは評価しないとする態度です。
再提出させるべきだと思います。
(どうして、これが正常に働いたことになるのか?後述)

2)2号機
2-1)原子炉隔離時冷却系
2号機では、5月16日付報告データにより、14:52以降、断続的に逃がし安全弁(SR弁)が開閉動作を行ったこと、また14:50頃に原子炉隔離時冷却系(RCIC)が1分程度起動、15:02頃から15:28頃まで連続的に稼働していることが確認できる(以上、過渡現象記録装置データ)。また、その後、15:28頃の原子炉隔離時冷却系 (RCIC)停止による原子炉水位低下のため、15:39に原子炉隔離時冷却系 (RCIC)が再起動していることが確認できる(プロセス計算機履歴データ)。
これらについて東京電力は、安全弁(SR弁)弁の作動は主蒸気隔離弁(MSIV)閉鎖に伴う原子炉圧力の制御のためと説明している。


ようするに 3月14日
東電は「14:52以降、断続的に逃がし安全弁(SR弁)が開閉動作を行ったこと」をガタガタな原子炉隔離時冷却系が動いたことともに主蒸気隔離弁(タービンにつながる弁)を閉鎖に伴う原子炉圧力の制御のためと説明している。
説明になっていません。
正確には
ガタガタな原子炉隔離時冷却系が止まり、へたな細工(メモ33参照)か整備不良で
ベントもできなかったから仕方なしに恐ろしい逃し安全弁の操作を行った。
すでにこの時点で逃がし安全弁を使っていたことになります。

と思います。(メモ28 参照)




また、原子炉隔離時冷却系(RCIC)について、14:50に手動起動したが、スクラム及び主蒸気隔離弁(MSIV)閉止等の影響による水位の過渡的な変動の中、14:51に原子炉水位高により自動停止した。また、15:02に原子炉隔離時冷却系 (RCIC)停止に伴う水位低下に対応するために手動起動させ、15:28に原子炉水位高となったため自動停止したと説明している。
さらに、15:39についても、原子炉隔離時冷却系 (RCIC)の停止に伴う水位低下に対応するため、手動で起動させたと説明している。


東電が何を言いたいのか理解できません。
スクラム及び主蒸気隔離弁(MSIV)閉止は地震が起きた3月11日の出来事です。
3月14にまで順調に動いていた原子炉隔離時冷却系が突然
「14:51に原子炉水位高により自動停止した。また、15:02に原子炉隔離時冷却系 (RCIC)停止に伴う水位低下に対応するために手動起動させ、15:28に原子炉水位高となったため自動停止」
なんてことがおこるのか?
そもそも原子炉隔離時冷却系が自動停止するなんてメカニズムがありえるのか?
あるなら、全原発の原子炉隔離時冷却系のシステムを作り替えなければならない。
説明になっていません。

以上で原子炉隔離時冷却系 (RCIC)稼働を直接示すデータは終了しているが、「水位・圧力に関するパラメータ」によれば、3月14日11:30までは原子炉水位は有効燃料頂部(TAF)に対して十分余裕のあるレベルで安定した後、低下傾向を示し、同日16:20には0mm(TAF;有効燃料頂部)まで低下していることがわかる。東京電力はこれについて、3月12日02:55には原子炉隔離時冷却系 (RCIC)の作動を現場で確認したこと、また、原子炉隔離時冷却系 (RCIC)の水源を復水貯蔵タンクから圧力制御室に切り替えたことなどにより、14日12時頃まで原子炉隔離時冷却系 (RCIC)は機能し原子炉水位維持を図っていたが、同日13:25に機能を喪失している可能性があると判断し、原子力災害対策特別措置法第15条に基づく通報を行っている。

上の説明から
原子炉水位は有効燃料頂部(TAF)に対して十分余裕のあるレベルで安定した状態から3月14日11:30から、低下傾向を示し、同日16:20には0mm(TAF;有効燃料頂部)まで低下していることがわかります。
どうして原子炉隔離時冷却系が原子炉水位高で自動停止するのか?
東電の説明はデタラメです。

原子炉隔離時冷却系 (RCIC)は蒸気駆動であるがその弁の稼働は直流電源によるものである。東京電力が判断した原子炉隔離時冷却系 (RCIC)の機能喪失時刻は稼働開始時から30時間以上が経過しているが、バッテリー容量上の制約が存在することを併せて考えると、当該バッテリーが枯渇した後も機能していたということであり、保安院としては、この点につき、改めて検証する必要があると考える。

??保安院は2号機のバッテリーが健全だったと思っているらしいです。
保安院が真なら東電は犯罪的な嘘をついたことになる。
東電が真なら保安院は訳のわからないミスをしていることになります。
どうも意味の話題に引っ張り込むトラップをしかけているのかしれません。

3)3号機
3号機は、125V直流母線が津波の被害を受けていなかったことから、他号機と比較してプラントデータが長時間記録されており、他号機より長期間について評価が可能となっている。


低圧の発電機と整流器があれば、直流電源を確保できたことが分かります。
発電機は大型でなくともよく、11日から準備すれば確保できたはずです。
また、バッテリーの近くには充電用の整流器があるはずです。整流器が海水に浸かっていてもバラして新たに組み立てる技術は当然なければなりません。
(技能訓練棟なんてのが所内にある メモ30 参照)

3-1)原子炉隔離時冷却系と圧力推移
5月16日付報告データでは、11日15:05(当直日誌では15:06)に原子炉隔離時冷却系 (RCIC)が手動起動し、15:28に原子炉水位高により停止している(警報記録計)。この後、原子炉隔離時冷却系 (RCIC)停止に伴う水位低下により、16:03に再度原子炉隔離時冷却系 (RCIC)が起動し、12日11:36に停止した旨が当直引継日誌に記録されている。

3号機の日誌は公開されるべきです。

どうも、原子炉隔離時冷却系 (RCIC)は原子炉水位高で本当に停止するようです。
設計ミスですから全原発の 原子炉隔離時冷却系は作り変える必要があります。
原子炉隔離時冷却系が止まったあと直流電源が切れることだってあるわけですから・・・

なお、12日11:36の原子炉隔離時冷却系 (RCIC)が停止した理由については、当該原子炉隔離時冷却系 (RCIC)の機能喪失時刻が稼働開始時から20時間以上経過しており、弁操作のためのバッテリーが枯渇している可能性が高いが、この時点で停止した理由は不明である。

弁操作が何を意味するのわかりませんが、所長、東電本社はバッテリーが枯渇することを失念していました。
恥ずかしいミスというか・・・なんて言えばよいのでしょうか?・・・ほとんど犯罪です。
(「ほとんど」はいらないか?)

原子炉圧力の推移について、5月16日付報告データでは、原子炉圧力は7~7.5MPaでほぼ安定的に推移してきたが、12日9時頃から変動幅が大きく見られるようになり、12:30頃から19時頃までで6MPa以上低下したことがわかる。この点について、東京電力は、12日12時頃に機器の運転状態等に何らかの変化があったと考えられると説明している。
保安院としては、東京電力は、その分析を継続していく必要があると考える。


「東京電力は、12日12時頃に機器の運転状態等に何らかの変化があったと考えられると説明している。」
東電の冗談みたいな説明です。変わってないなあ~。
なにやったんだ?プルトニュウムがでるわけだ。
原子炉隔離時冷却系 (RCIC)で単に冷えてきたってことだけかもしれない。
そうなら出来レースだな。

3-2)高圧炉心注入系と圧力推移
5月16日付報告データでは、炉心水位低(L-2)により高圧炉心注水系(HPCI)が12日12:35に自動起動し、13日02:42に停止していたことがわかる(当直引継日誌)。また、この際、プラント関連パラメータには水位の記載がなく、炉心水位が不明な中で、炉心注入系が停止したこととなる。
なお、高圧炉心注水系(HPCI)停止後1時間以上後の03:51、水位計電源が回復し、燃料域で-1600mm(TAF-1600mm)であることが判明した(当直引継日誌)。
高圧炉心注水系(HPCI)の停止理由として、東京電力は、原子炉圧力が低下したことが理由であるとしている。


こんなこと信じるのかなあ?
「13日09時24分 格納容器圧が減圧されたことを確認。ベントが実施されたと判断」
格納容器の圧力が高いからベントしたんだけど・・・
原子炉圧力を圧力容器か格納容器かごっちゃになるような書き方をしている。
バッテリーあれば動かせばすむ話なので
このときすでにバッテリーぎれで動かすことができなくなっていたと思います。
高圧炉心注水系(HPCI)の停止理由はバッテリーぎれです。
保安院もあいかわらずだあ~。やっぱり、出来レースだな。

5月16日付報告データでは、原子炉圧力は12日19時頃から1MPa前後で安定していたが、13日02時頃から02:30頃に一旦低下し、その後同日04時過ぎまでに7MPaまで上昇している。この圧力変化の初期には高圧炉心注水系(HPCI)は稼働していたが、その稼働停止に伴い原子炉圧力が急上昇した可能性がある。
「13日02時頃から02:30頃に一旦低下し」は何を意味してるかわかりませんが、高圧炉心注水系(HPCI)がバッテリー切れで圧力容器の圧力が上がってしまったと思います。

その後、同日09時前に0MPa近くまで急激に圧力が減少している。
東京電力は安全弁(SR弁)弁による急速減圧によるものと説明している。
保安院としては、この圧力の大きな変動の要因について、今後解析等により明らかにする必要があると考える。


東電は3月13日に
ベントをし、
「09時24分 格納容器圧が減圧されたことを確認。ベントが実施されたと判断」
12時前に逃し安全弁操作をしています。
計器も安定しているように見えませんので、これも出来レースでしょう。
こんな所を指摘してもマッタク意味がありません。
また
6.外部への放射性物質の漏洩

保安院としては、地震による外部への放射性物質の漏えいはないと考える。
としてます。?
タイトルと中身が違います。
ベントで外部への放射性物質の漏えいがどのくらいあったのか明らかにしなければなりません。

8.まとめ

地震発生時に各プラントは正常に停止するとともに、地震による外部電源喪失後に非常用ディーゼル発電機は正常に起動した。冷却機能についても、各原子炉の状態に応じた機器が作動し、正常に機能していることがデータ等によりを確認された。

としてるが、すくなくとも1号機の非常用復水器はA系のみ片肺運転であることを無視しています。
また、3号機についても、「RCIC、HPCI以外の非常用炉心冷却設備」の稼働は確認できないのに
「正常に機能している」とは言えません。
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水素爆発には一切ふれず
(こいつらは、水素爆発について説明できないのです)

15条判断が適切になされたかまったく触れられていません。
1号機の非常用復水器の寿命3号機のバッテリー使用を失念した15条判断が適切で無かったのは明かです。

こんなものは事故記録ではありません。

やるきなし保安院です。

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