2011年5月22日日曜日

原子力発電所の水素爆発について メモ6

ここでは、5月21日現在の各原子炉の状況を考えて見たいと思います。
資料は原子力安全・保安院
のプレス発表 2011年5月21日地震被害情報(第145報)
です。


.各原子炉の状態
.1 1号機

1号機は3月12日に水素爆発がおこりました。
ベントが行われる前に現場と総理にどんなやりとりがあったのか興味がありますが・・・一流大学理系出身の総理はどうも相当(ハイレベル)に原子力発電詳しそうです。だから現場に行ったのだと思います。(ハトポッポでなくてよかった)余計なことはこれくらいにして
図の下に書いてある丸いのはサプレッションプールで、圧力調整用プールのことです。
格納容器の温度を制御する水溜まりです。もちろん、構造からみて最終的に圧力容器の温度=圧力を制御します。

左上にあるプールは核燃料をとりあえず保管する施設です。


1.1.1 1号機の圧力容器
圧力容器の圧力は0.631MPhaなのか1.519MPhaなのかはっきりしませんが最高最低と解釈しておきます。
原子炉圧力(格納容器圧)B1.519MPha=15190hPaで大気圧の約15倍程度です。
ここには核燃料と水以外ありませんから、露点温度が水の温度=圧力容器の中の温度となります。
メモ2で私の使っている計算式は役にたたないだろうと温度を示しませんでした。
試しに計算すると露点温度100で水蒸気圧力1048hPaとなりました。
100の水蒸気圧1013hPaより少し高い程度ですので参考にはなりそうです。

150で約5140hPa200約17650hPaとなりました。
150~200の間と考えてよさそうです。
もう大さわぎもしてませんから、あまり心配なさそうです。

給水ノズル温度111.3、圧力容器下部温度95.0です。
図では原子炉水位B ー1550mmで、燃料頂部から上記水位が冠水していない状態とされています。
この原子炉水位Bがマイナスなら、燃料はむき出しの部分があるかメルトダウンしていることになります。

1.1.2 1号機の格納容器
格納容器の圧力は0.1315MPa=1315hPaと大気圧より少し(?)高い程度です。

格納容器の温度がほしいのですが・・・
圧力容器下部温度が95.0ですから、これより低いでしょう。

こうした温度では圧力容器が壊れていれば格納容器の圧力と同じになるはずです。
おそらく格納容器は(大きく?)壊れていないと思います。

ただし、小さな傷程度はあるかもしれません。早く処理しないとそうした傷が広がる可能性はあると思います。

露点温度は1001013hPaです。(1気圧=1013hPaで沸騰)
圧力容器下部温度の95.0と矛盾があるように見えますが、すでに1号機の格納容器には窒素が入ってます。
格納容器の圧力は1315hPaは、水蒸気圧+窒素圧と考えられます。

詳細は省略しますが、窒素は理想気体ですから、PVRTに従います。結果、圧力容器の温度が再び上がれば圧力調整プールで圧力を調整しにくくなります。
小さいネガティブな要因でも可能な限り排除すべきです。
 
1.1.3  1号機の高放射能水等
圧力容器は無事(少なくとも大きくは壊れていない)のようです。
したがって、格納容器への核燃料の落ち込むメルトダウンはなさそうです。
チャイナシンドロームはなしです。
 
高放射能水は圧力容器の中と巡回水、巡回水により高放射能水は外に出ている可能性はあります。
 
なるほど、窒素を入れるのは圧力容器を冷やして巡回水を最小限にしたいのかもしれません。 


ところで、もし作業中に不幸が起こったら、東電は当然ですが民間人に危険な作業をさせた責任は政府にもあります。

1.2 2号機
1.2.1 2号機圧力容器
圧力は0.083MPa=830hPaで大気圧よりやや低い程度です。
原子炉水位Bはー2100mmですから2m10cmほど核燃料棒が水に浸かっていません。
圧力容器下部温度 108.1℃ で計器不良とありますが、数字はある程度信頼して良さそうです。
海水がはいりましたが、湿度100%で露点温度位と見て良いでしょう。
(圧力容器は壊れていますから水は格納容器に吹き出していますので露点温度より高い可能性がありますがオーダーが違うことはないと思います)

2m10cm燃料棒がむき出しなら、圧力が大気圧より低いはずはありません。
メトルダウンは起きています。


1.2.2  2号機の格納容器
原子炉格納容器圧力は0.040MPa=400hPaです。
窒素は入れられた形跡はありません。

露点温度70℃の蒸気圧は約310hPa80℃では約480hPaですので
原子炉格納容器の温度は7080℃となります。
サプレッションプールは壊れた可能性がありますので、サプレッションプールの水温と格納容器の温度を単純に比較すべきではないのでしょうけど・・・SP水温B64.6℃との大きな不整合は無いようです。


1.2.3  2号機の高放射能水等
格納容器に高放射能水が溜まっていて外には流れ出ていないと思います。(過去に起こった可能性はあると思います。)

水が流れ出るには空気が格納容器に入り、格納の容器の圧力が大気圧と同じなる必要があります。
格納容器の圧力が低く、こうしたことは起こっていないので水は外に流れにくいはずです。

核燃料保存プール(図 左上のプール)は既設冷却系を使って冷やしています。?
ちょっと疑問に思います。
水を循環させているってことじゃないのか?
循環させているなら。何故プールの温度を下げられないんだ??
既設の冷却系のパイプが信頼できなくて、水を加える程度のことしかできない?
だとすると情けない設備です。
それとも、そもそも東電のやる気が無いか?

核燃料が格納容器に落ち込んでいると考えるべき(少量かもしれませんけど)ですが
この資料のデータでは、冷温停止状態。
したがってチャイナシンドロー厶は無しと思います。

1.3  3号機
  


1.3.1 3号機圧力容器
原子炉圧力A 0.001MPa=10hPa 原子炉圧力D 0.012MPa=120hPa 大気圧の1/1001/10程度になります。
新しい22日の資料では
原子炉圧力A ー0.003MPa 原子炉圧力C 0.005MPa となってます。

原子炉圧力Dを原子炉圧力Cに変えたこと、圧力あまりにも低いことから圧力計は壊れているのかもしれません。
原子炉水位Bはー2300mmですから2m30cmです。データ核燃料棒がむき出し状態であることを示しています。
メルトダウンは起きていると考えるべきでしょう。(ほとんど、断定してよさそう)

圧力容器下部温度は104.4℃2号機とあまりかわりません。
「圧力容器内部の温度」「圧力容器が壊れているのか?」は圧力の値に疑問がありますのでわかりません。

壊れていると考えるべきだとは思います。

1.3.2 3号機格納容器
原子炉格納容器圧力 0.1015MPa=1015hPaで大気圧と同じです。
原子炉格納容器の温度は湿度100%なら100℃程度となります。
特に窒素が入れられた形跡はなさそうです。
サプレッションプールの圧力は0.1948MPa=1948hPaで大気圧の1.9倍で、温度は41.9℃ですからサプレッションプールは満水状態(気体としての水は無い)ことになります。
あるいは、ほぼ満水状態で10m程度の水中で圧力を計っている可能性もあります。(こちらの可能性のほうが高いか?)
サプレッションプールの水のほうが多そうです(多くないと制御できない)ので大きな矛盾はないと思います。

1.3.3  3号機の高放射能水
圧力容器が壊れていれば圧力容器と格納容器圧力容器のなか、そして循環水が高放射能水となっている。
循環水を加え続けているようなら高放射能水は、原子炉外へ出てきていることになる。

核燃料保存プール(図 左上のプール)は5/8にサンプリングをしています。
サンプリングしたなら状態も確認をしているでしょう。また、人も近づいているので、心配していたほどの状態ではなかったようです。

懸念材料はあるものの冷温停止状態
チャイナシンドロームは無いと思います。

1.4  4号機
 この資料では特に見るデータはありませんでした。

2 雑感
私は、12号機から高放射能水が漏れたと思っています。1,2号機に安易に近づくのは非常に危険だと思います。事故が起こらないこと祈ります。

東電は523日のプレス

「原子炉格納容器内に水素ガスが蓄積している可能性があることから、酸素濃度の上昇
を防止する観点より、4月6日午後10 30 分より格納容器内に窒素ガスの注入に関
わる弁操作を開始し、4月7日午前1時31 分より、注入を開始しました。」

とあります。

原子炉格納容器内の「酸素濃度の上昇」などありえない。

こうした「うそ」情報は国民に対する詐欺です。
こうした「うそ」をつくことは東電の体質を変える意志がない現れです。
「うそ」を突き通し、原子力発電が再開されればまた同じ人災事故がおこります。
それは、見かけだけの改善で全く減らない各原発の平時の事故の多さでわかります。
こうした「うそ」体質では原発の改善などできるはずがないからです。


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被災者の方々にお見舞い申し上げます。




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