2012年6月11日月曜日

予想図からショワルターの安定指数を求る

気象の話とは関係ありませんが
ニーサ(NISA)入門 ニーサ(NISA)な話
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実際にリーマンショック前に投資をしていたら?具体的に考えました。



ショワルターの安定指数(SSIは不安定を判断する基礎的な資料ですが、現場でも予想図からSSIを計算する予報官はほとんどいないと思います。
 予想図からSSIを計算するのに必要なのは、エマグラム線図ではなく飽和相当温位を計算した表です。
 ここでは、予想図と表からSSIを計算する方法を紹介します。

1.SSIと飽和相当温位 
 SSIの定義はだいたい次のようなものだと思います。
 500hPaの空気の温度をT500します。
850hPaの空気は理想気体と考え、始め準静的に断熱膨張させ、湿度が100%に達したら500hPaまで準静的に湿潤断熱膨張(こんな言葉あるのか?わかりませんが何を言っているのかは想像できると思います)させます。そのときの温度をT850→500とします。
蛇足ですが②がエマグラム線図でたどる作業です。SSIが分かりにくいのはT850→500に名前を付けないからだと思います。  

 SSI
SSI= T500T850→500
で定義されます。
意味は分かっていても、実際に予想図から自分の頭の上のSSIを求めた方はいないと思います。
また、予想図からSSI を求めるにはエマグラム線図は使いません。
現場でエマグラム線図を使っているのを見たことがありません。
エマグラム線図の使い方を勉強する方には申し訳ありませんが・・;
エマグラム線図は、今は使われない過去の遺物です。
湿球温度と相当温位の関係を見抜いた達人はいましたが・・・
 
パソコンでT850→500を求めるときには、
 「850hPa空気塊の相当温位(エントロピーを変えずに湿度100%、気圧500hPaにした時の温度」と定義して
 計算されます。

 例えば、850hPaの相当温位300KT850→500は-29です。
 ショワルターの安定指数SSIは
SSIT500T850→500
になります。


 
 T850500を求める複雑さから逃れるには飽和相当温位T850→500に換算するを作っておけば問題解決です。
 表を作っておけばSSIを計算できるのです。

2.予想図からSSIを求めてみる 
予想図等はHBCウェザーセンターからダウンロードができます。
換算表から
850hPaの相当温位予想T850→500の図と読み替え、500hPaの温度予想図とSSIを求めることができます。
ちょっとしっくりしないかもしれませんが、単純な作業であることは感じてもらえるのでないでしょうか?
 
実際に2012569時(00z)の予想図から輪島の予想SSIを求めてみます。
 5月6日は茨城・栃木県で竜巻が発生した日です。
500hPa温度予想図

850hPa 相当温位予想図
 
少し見えにくいので2つの予想図を拡大します。

500hPa温度予想図

輪島は-21℃線の北くらいなので-21℃しましょう。

850hPa 相当温位予想図

相当温位は3k毎に線が引かれていますから、輪島の相当温位309~312Kにあります。
換算表(下の表では値が示されていませんが・・;ゴメンナサイ)から相当温位309KT850500は-23℃、312Kは-21℃ですので輪島のT850500を-22℃としましょう。


SSI
SSIT500T850500
  =-21-(-22
  =+1
と予想されました。

実況を確認しておきましょう。
当日9時の850hPaの相当温位は310KT850500=-22℃)で実際は307KT850500=-24)でした。
日本海側の相当温位は込み合っていますから、この位の誤差はしかたないかもしれません。
500hPaの温度は約-21.5℃でした、予想は-21℃です。
SSIの実況は 
SSI=-21.5-(-24
  =+2.5
となりました。
850hPa相当温位の予想がやや外れましたが、予想、実況ともSSIはプラスでした。
実は
SSIT500T850500
の極性(+-)は
500hPaの飽和相当温位」-「850hPaの相当温位」
と同じですので、表から500hPaの飽和相当温位と850hPaの相当温位を比べれば大気が安定なのか不安定なのかわかります。
 これをグラフにしたのが温位エマグラムです。
 相当温位はCp(定圧モル比熱)を掛けると空気1モル当たりのエネルギーになります。
 相当温位は実際のエネルギーに対応し、飽和相当温位はどのくらいまでエネルギーを溜められる示す容器のようなものと解釈できます。
 大気が不安定なら、エネルギーは容器からあふれることになります。
 あふれたエネルギーは水蒸気が氷になったとき放出されるエネルギーに対応しますので、実際に対流現象が起きて、水蒸気がどのくらい氷(水)になったか計算も可能です。

次の図は1000hPaを基準としたタイプの温位エマグラムです。(気象庁は古いタイプの温位や相当温位を使っています。「温位の定義 モデルは温暖化を予想できるのか?」参照)

20125609時(00z)輪島温位エマグラム


ここで少しわき道にそれます・・
温位エマグラムだけを見ると、自由対高度は1900m位で、温位が約295K(地上気温約22℃)になれば自由対流高度に達し対流が始まると考えられます。
旧式の飽和相当温位は実際より高く計算されますから、雲頂高度7000mを超えるでしょう。
9時時点では850hPaの温度が高く、雲頂高度7000mを超えるような対流は抑えられていると考えられます。(見たとおりですが・・)
参考までに、地上を基準とした温位エマグラムを見ておくことにしましょう。

 対流が起これば雲頂高度が9000mを超えそうです。
旧式で計算するより、CAPEがかなり大きくなりそうだと読みとることができるでしょうか?
1000hPa基準の温位や相当温位はこのような問題を抱えているのです。

3.飽和相当温位と湿球温度
 相当温位からT850500への換算表を説明したいと思います。
T850→500は850hPaの相当温位を変えずに気圧を500hPaで湿度100%とした時の温度でした。
 
 再び換算表を見ます。

湿球温度対飽和相当温位換算表


上の表で850hPaの欄で赤く着色した欄の値300K850hPaの相当温位を表しています。

850hPaの相当温位を300k、500hPaの温度をT500=-30℃としてSSIを具体的に求める手順を説明します。
T850500
500hPaの欄で300Kの値を探します。
300Kの左の値が湿度100%の温度、つまりT850500になります。
表からT850500=-28.5
としましょう。SSI
SSI=T500T850500=-30-(-28.5)=-1.5
となります。
 方法は同じなので、「850500hPa」組のSSIとは別の気圧面の組み合わせでSSIを求めることもできます。
エクセルによる気象関数」を標準モジュールにコピーすれば、相当温位θeが使えるようになりますので、必要な気圧の換算表を作成しておくと便利です。
 ・・・
ついでなので
湿球温度は相当温位を変えずに湿度100%にしたとの温度に対応します。
850hPaの相当温位が分かっていると表から850hPaの湿球温度も求めることもできます。
例えば850hPaの相当温位を300Kとしたとき
300=θe850 ,Ty,Ty
として表から 850 hPaの欄からTy=1℃と求めることができます。
Ty850hPaの湿球温度です。
Ty0℃以下なら上空から降って来る雪は解けませんから雨・雪判別にも使える訳です。
850hPaの高度はだいたい1500m程度なので、850hPaの相当温位が300Kなら標高1500m程度が雨・雪の境界位と考えてよいと思います。
詳細は「湿球温度と温位エマグラム」や「温位エマグラムとSSI」で確認お願いします。
換算表はどの程度の高さまで雪になるのかにも利用できるのです。


雲取山避難小屋の桜
富士山は見えたのですが見通しが悪くかすんでいました。春はしかたないか・・


竜巻についての試行錯誤


20125609時(00z) 館野温位エマグラム


自由他流高度は3000mを超えますが、温位が304Kmで達すれば対流が始まり雲頂高度は8000mを超えそうです。
地上基準の温位エマグラムも確認しておきましょう。

これも対流が起これば雲頂は9000mを超えそうです。

500hPa9時予想では本州上に強い寒気が入るようにも見えますが、しかし、21時の予想図(省略)の寒気は北東進して500hPa寒気の南下はたいしたことはなかったようです。
6日の実況気温は
500hPa
09時 輪島 -21.5℃ 館野 -19.1
21   輪島 -20.5℃ 館野 -20.1
850hPa
09時 輪島   8.5℃ 館野 12.5
21時 輪島   4.6℃ 館野   9.3
でした。
500hPaの温度を-21or22℃と見なすと、表から下層の相当温位が312K以上で不安定になります。
地表付近は輪島、館野共に312K以上ですからすでに不安定でした。
09時に雲頂高度が8000mは超えていないと考えられますが、それは850hPaの温度が高く850hPaは地上付近に対し安定となっており抑えられていると考えられます。
しかし、850hPaの温度が3~4℃下がっています。850hPaの飽和相当温位が312kより低くなれば、地上付近に対し不安定になります。
地上付近相当温位はすでに500hPaに対し不安定ですから雲頂高度は500hPaの高度を超えることになります。
850hPaの予想図を見てみましょう。


850hPa6線の南下が顕著に予想されています。

これから地上の実況値を確認しますが、その前に9時の500850hPaの温度予想から飽和相当温位を確認しておきましょう。

本州上で500hPaの温度変化はあまりありませんでしたから、500hPaは下層で相当温位が311kになると不安定です。
地上付近は500hPaに対しすでに不安定です。
850hPaは寒気の南下が顕著で21時には6℃線が本州上に達しました。

もし、地表付近の相当温位が変わらなければ21時の時点で、地表は850hPaそして500hPaに対し不安定で雲頂高度が9000mを超える対流が起こるはずです。

さて地上実況です。




9時の段階では水戸、筑波の地上θe温位は320Kを超えています。
館野の高層実況をみても地表付近の相当温位は320Kです。
850hPaの寒気の南下が顕著です。
850hPaの飽和相当温位319K=9℃の寒気がかかれば、地所付近は850hPaに対し不安定になり、一気に雲頂高度が9000mを超える対流運が発達します。
宇都宮や筑波の地上相当温位は9時以降上がって行きましたから、850hPa9℃線がかかる直前に雲頂高度9000mを超える対流雲を作ることができる爆発的な上昇流=竜巻が発生したのだろうと思います。
 勿論、700hPaの飽和相当温位も320K以下になっていなければなりませんが・・
 700hPaの温度予想は手にはいりませんでしたので、雲頂高度が9000mまで発達可能だったかはわかりません。
 竜巻にこのような深い対流(雲頂高度が高い対流)が必要なのかわかりませんが、館野の温位エマグラムを見ると500m近くまで320Kの相当温位の空気が溜まっています。
 寒気の入り方によって厚さは違ってきますが・・・
850hPaで飽和相当温位320Kの寒気が入り、この分厚い層が全部上昇流にかかわったと思われます。
 水を張った浴槽の底にある排水溝へ繋がる栓を抜いたようなイメージをもちます。

 
 確かめられないので、断定的に判断するのはよくないのですが・・・
竜巻はモデルで925hPa 850hPaに対し不安定になった(8500hPaの飽和相当温位=925hPaの相当温位となった範囲)、その場所が竜巻の発生位置と対応しているかもしれません。
 
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原発は経済のアヘンです


 事故調査にIAEAが日本来た時「われわれは、原発を運転させる為に来た。」と言ったのを覚えています。
 その後、「原発を運転させるかどうかはその国の判断だ。」と換わりました。
 調査結果は、事故対応はおおむね妥当との結論だった思います。
 原因は断定できなくとも専門家ですから
「地震で圧縮空気がなくベントができず
 メルトダウン→メルトスルーが起きて
 消防車で圧力容器を冷やせるようになった。」
ことは分かったはずです。
分からなかったら、調査などしていなかったのです。
 それが、「問題無し」と結論するのですから日本の専門家と「同じ穴のむじなです。
 政府、原子力安全・保安院、電力会社、専門家もこのことを隠して原発を再稼働させようとしています。
 ベントができない原発が安全なはずがありません。
 狂人たちとしか思えません。
 世界に他国の原子力発電所を安全に運転させる専門家など存在していないのでしょう。
 斑目さんが「我々は、原発を安全に運転する専門家ではない」との趣旨を言っていたのを思い出します。
 そもそも、日本に原発を安全に運転する専門家などいないのだと思います。
 
原発の燃料は、核ミサイルの廃棄物です。
 核ミサイル廃棄物から出る放射能はどうすることもできないので、核燃として価格をダンピングして売っているのです。
 だから、安いのです。
 経済産業省のバカ役人は単に安いとの理由で、燃料がどれほど危険か、また、ゴミとなる放射性物質の処理を考えずに原発を作り続けてしまいました。
 結果、原発は日本の経済と深く絡み合い、政府に「経済を理由に運転するしかない」と間違った判断をさせる土台を作ってしまったのです。
 原発の運転を続ければ、処理しきれない廃棄放射性物質が溜まり深刻な状態になるのは時間の問題でしょう。
 経済産業省や専門家、企業もとぼけていますが廃棄放射性物質を処理できないこと隠しています。

 技術の進歩で処理ができると思いたがってはいるのでしょうが・・
 しかし、30年以上処理技術は進んでいません。
 地下に埋めるか海に捨てる位しかアイディアは無く、それも、海への投棄は許されず、埋め立ては明らかに危険で受け入れる所はありません。
 ですから、福島第1原発4号に使用済み核燃が大量に溜めこまれていたのです。
 前福島県知事の佐藤栄佐久氏は、このことに気がついていたようです。
 使用済み核廃棄物は他県に廃棄する約束は経済産業省のついた嘘で原発は核廃棄物のゴミ捨て場になるでしょう。核廃棄物の受け入れ先などありません。
 原子力発電所の増設や使用済み燃料プールの拡張で溜めこまれていくことになるでしょう。
 現在は単に、嘘が確定していないだけです。

 経済を理由にして、原発を許容するのは経済を理由に核ミサイルの廃棄物のゴミ箱になることと同じなのです。

 原発はまさに、経済のアヘンです。

今の政府にはアヘンを断ち切る勇気がなかったようです。
 残念ながら、日本の国は破滅の道を歩き出したようです。

 だからと言って、原発を止めればよいでしょうか?
 燃料ウランの半減期は7億年です。
7億年たっても核燃料からでる放射能は半分しかならないのです。
原発を運転しなくとも核燃料は水で冷やし続けなければなりません。
冷やすことができなくなれば、チャイナシンドロームが起こります。
核燃量は核爆弾同様に危険なものなのです。

原発は、核爆弾を処理する軍事施設なのです。

少しでも安全な形で、核廃棄物を管理する為には原発を稼働させなければならない。
核燃料を燃やしても、残った放射性物質は永久に管理しなければなりません。
そんな悲惨な状況に日本はあるのです。

  

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