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温位、相当温位、飽和相当温位とは何か?が分からないと内容がわかりませんので、
初めに温位・相当温位・飽和相当温位について少し解説したいと思います。
大気中に1モルの空気を考えます。
この空気は位置エネルギー、エンタルピーというエネルギーや水蒸気の潜熱のエネルギーを持っています。
温位は水蒸気を抜いた乾燥空気のエネルギー
相当温位は温位に水蒸気のエネルギーを加えたものに対応します。
ところで水蒸気は温度によって空気に含まれる量が決まってきます。
飽和相当温位は
温位に加え最大限の水蒸気があると仮定したときのエネルギーと考えていただいてよいと思います。
こうしたエネルギーをCp(定圧比熱)で割ったものが、温位、相当温位、飽和相当温位です。
このように考えると相当温位が実際のエネルギー、飽和相当温位はエネルギーの入れ物いわば箱です。
地上の相当温位が大きく、上空の飽和相当温位=箱が小さければ溢れて空気は上昇して雷雲が発達します。
逆に、地上の相当温位が小さく上空の箱が大きければ大気は安定で雲は発達しません。
それには、地上の空気を持ち上げなければなりませんが持ち上げるのが温位です。
分かりにくいと思いますが地上と上空の空気が同じ温位(=等エントロピー)になると空気は混ざって、
結果的に上空へ持ち上がったのと同じような効果あると考えられます。
温位は気象の基礎概念ですが、温位の定義式を見て困惑する方は多いと思います。
大気中に1モルの空気を考えます。
この空気は位置エネルギー、エンタルピーというエネルギーや水蒸気の潜熱のエネルギーを持っています。
温位は水蒸気を抜いた乾燥空気のエネルギー
相当温位は温位に水蒸気のエネルギーを加えたものに対応します。
ところで水蒸気は温度によって空気に含まれる量が決まってきます。
飽和相当温位は
温位に加え最大限の水蒸気があると仮定したときのエネルギーと考えていただいてよいと思います。
こうしたエネルギーをCp(定圧比熱)で割ったものが、温位、相当温位、飽和相当温位です。
このように考えると相当温位が実際のエネルギー、飽和相当温位はエネルギーの入れ物いわば箱です。
地上の相当温位が大きく、上空の飽和相当温位=箱が小さければ溢れて空気は上昇して雷雲が発達します。
逆に、地上の相当温位が小さく上空の箱が大きければ大気は安定で雲は発達しません。
それには、地上の空気を持ち上げなければなりませんが持ち上げるのが温位です。
分かりにくいと思いますが地上と上空の空気が同じ温位(=等エントロピー)になると空気は混ざって、
結果的に上空へ持ち上がったのと同じような効果あると考えられます。
温位は気象の基礎概念ですが、温位の定義式を見て困惑する方は多いと思います。
Wikipediaによると
とあります。
1000hPaへ準静的に断熱圧縮させた温度なのですが、どのようなエネルギーを使って断熱圧縮するのか明確にしている教科書はほとんどありません。・・・ないかもしれない・・・
エネルギーについては後で触れることにして、こうした定義から500と850hPaの空気を比べることができるようになりました。
少しややっこしいですが
500と850hPaの温位を計算すれば、2つの空気を比べることができます。
1000hPaまで、準静的に断熱圧縮した
500の温位をT500→1000
850の温位を温度T850→1000
とすると
1000hPaまで、準静的に断熱圧縮した
500の温位をT500→1000
850の温位を温度T850→1000
とすると
T500→1000<T850→1000のとき
500hPaからみれば
500hPaの圧縮した空気の質量密度は850hPaの空気より高く(重く)下降流がおこりやすく ???
850hPaからみれば
上昇流が起こりやすいことになります。
500と850hPaの空気は混ざりやく大気の状態は不安定だと言うことです
T500→1000>T850→1000のとき
500hPaからみれば
500hPaから850hPaに圧縮した空気の質量密度は850hPaの空気より低く(軽く)安定でなにも起こらない ???
850hPaからみてもやはり安定で なにも起こらない ???
500と850hPaの空気の間ではなにも起こらず(?)、大気の状態は安定だと言うことです。
(このように考えるとぐちゃぐちゃになりますので、一般的にはT500→850<T850は上昇流が起こりやすいと解説されます。)
このように温位は確かに便利です。
必要な概念で基礎概念であることは間違いなさそうです。
ただ・・
T500→1000とT850→1000を比べて本当によいのでしょうか?
と言うのがここのテーマです。
実は空気を準静的に断熱(エントロピーを変えないように)圧縮するエネルギーとして位置エネルギーをつかいます。
温位と乾燥断熱減率は密接な関係があります。
dT/dz=-(mg/Cp) (1)
θ=T(z)(1000/P(Z))^(R/Cp) (2)
信じられないかもしれませんが(2)は(1)を満たしていないといけないのです。
同じものを圧力Pでみるか高さZでみるかの違いと考えてよいかもしれません。
このあたりの事情は乾燥断熱減率と温位エマグラムを参照して下さい。
(1)で温位を表現すると、
気圧面の高さをZ、1000hPaの高さをZ1000として
θ=T(z)+(mg/Cp)(Z-Z1000) (1)´
となります。
さて、実際に温位を計算してみましょう。
一生懸命温位を勉強しても、実際に温位を計算した方は少ないと思います。 何のために勉強したのか?
数式が嫌いなかたは風船の図近くまで読み飛ばして下さい。
次の数値は2011年12月09日21時の館野高層観測の速報値です。
ワイオミング大学から得ました。
PRES HGHT TEMP
1015 0 0.2
1012 53 3
1005 105 3.8
1000 143 4.4
995 184 5.2
983 283 4.8
972 374 4.4
925 775 1
850 1447 -4.7
848 1466 -4.9
814 1784 -7.3
781 2107 -9.7
768 2236 -10.7
730 2624 -13.9
712 2813 -15.7
710 2834 -15.9
700 2941 -15.9
680 3159 -16.9
677 3192 -17.2
668 3292 -18.3
664 3337 -17.9
639 3623 -18.1
619 3860 -18.3
564 4546 -23.1
557 4639 -23.7
543 4825 -21.9
512 5256 -22.5
511 5271 -22.5
500 5430 -23.5
850、500hPaの気温はマイナス4.7℃とマイナス23.5℃、高さは1447mと5430mです。それぞれの温位をθ850、θ500とすると
Cp は
ですので
θ=T(z)(1000/P(Z))^(R/Cp)
=T(z)(1000/P(Z))^(2/7)
で
θ850=(-4.7+273.15)(1000/850)^(2/7)
=281.2k
θ500=(-23.5+273.15)(1000/500)^(2/7)
=304.3k
となります。
これを(1)´式に入れてZ1000を求めますが、その前に乾燥断熱減率Γを確認しておきます。
Cp=29.085J/mol・K
m=29g/mol=0.029Kg/mol
g=9.8m/sec/sec
ですから
mg/Cp=0.029×9.8/29.085=0.00977≒0.01 k/m=0.01 ℃/m
と100メ-トルで1℃下がる(上がる)割合となります。乾燥断熱減率Γは
Γ=-mg/Cp=-0.01 (℃/m)
さて、Z1000の計算です。
850hPaは(1)´式から
281.2=(-4.7+273.15)+mg/Cp(1447-Z1000)
Z1000=1447 -(281.2+4.7-273.15)/0.01
=1447 - 1275=172
次に500hPaは
304.3=(-23.5+273.15)+mg/Cp(5430-Z1000)
Z1000=5430 -(304.3+23.5-273.15)/0.01
=5430 - 5465=-35
??
ところで、実際の1000hPaの高さは143メ-トルで、気温は4.4℃で、圧縮する必要はありませんから温位は4.4+273.15=277.55kとなります。
Z1000の値がそれぞれ違ってしまいました。??
違って当然なのです。
原因は現実の温度減率が乾燥断熱減率になっていないからです。
これはモデルにとって致命的な問題になります。
500hPa空気のエントロピ-を変えずに位置エネルギ-を使って1000hPaにするとはどのようなことか?
図のように500hPaの乾燥空気を1000hPaまで断熱圧縮するには5465メートルの高度差が必要なのです。
500hPa面の高度は5430メートルですので1000hPaまで圧縮するとその位置は地下35メートルになってしまいます。
しかし、実際の1000hPa面の高さは143メ-トルです。
実際の1000hPaの空気は、500hPaの空気を1000hPaまで断熱圧縮した空気より143+35=178メートル分の位置エネルギーを余分に持っていると言うことです。
現在の定義ではこうした位置エネルギーの誤差は避けられません。
500hPaが1000hPaに対して安定なのか不安定なのかは1000hPaまで断熱圧縮する途中の143メ-トルで風船を割ってみないと分からないと言うことです。
現在の温位の定義では厳密には高度や気圧がちがった空気を比べることはできないのです。
この日の300hPaの温度は-38.5で高度は9030メ-トルでした。
温位は331.0kとなり300hPaの乾燥空気が1000hPaになるには高度差は9934メ-トル必要になります。
地下900メ-トルになりますので、現在の温位の定義で300hPaと850や500hPaの温位をと比べても全く無意味になってしまいます。
比べるためには、定義を変更する必要があります。
面倒でも*地表面まで断熱圧縮した値を温位とすべきです。
*このように定義しても比べられないのでは?との疑問があるかもしれません。
少しごちゃごちゃしますが・・・しかたがない。
気圧の異なる2つの空気を比べるわけですが、理論的にはどちらか気圧の高いほうの空気を低いほうの気圧まで自由膨張させれば比べれられます。
自由膨張で温度の変化はありませんから、事実上自由膨張させなくとも不安定かどうか判断できます。
自由膨張については大気成分とギブスのパラドックスの真空の箱で少し説明しました。
自由膨張(エントロピーの変化あり)と準静的な断熱膨張(エントロピーの変化無し)の区別がつかないと熱力学の落とし穴に捕まります。私は捕まりました。
自由膨張(エントロピーの変化あり)と準静的な断熱膨張(エントロピーの変化無し)の区別がつかないと熱力学の落とし穴に捕まります。私は捕まりました。
温位の要素には明らかに位置エネルギーが含まれています。・・・
しかし、現在の温位の定義は気圧面ごとに1000hPaまで圧縮した時の位置がバラバラなのに、無理やり同じ0メートルと定義しているようなものです。
言わば第1法則、エネルギー保存則を無視しているのです。
・・・・温位の定義は明らかに誤りです。・・・・
現在の温位は1000hPaの位置エネルギーの誤差のため上空に行くほど高い値になってしまいます。こうした誤差は*相当温位にも反映されてしまいます。
*最初にもどるのは面倒だとおもいますので再録します。
温位、相当温位、飽和相当温位とは何か?
大気中に1モルの空気を考えます。
この空気は位置エネルギー、エンタルピーや水蒸気の潜熱のエネルギーを持っています。
温位は水蒸気を抜いた乾燥空気のエネルギー
相当温位は温位に水蒸気のエネルギーを加えたもの
ところで水蒸気は温度によって空気に含まれる量が決まってきます。
飽和相当温位は
温位に加え最大限の水蒸気があると仮定したときのエネルギーと考えていただいてよいと思います。
こうしたエネルギーをCp(定圧比熱)で割ったものが、温位、相当温位、飽和相当温位です。
このように考えると相当温位が実際のエネルギー、飽和相当温位はエネルギーの入れ物いわば箱です。
地上の相当温位が大きく、上空の飽和相当温位=箱が小さければ溢れて空気はどこまでも上昇します。
逆に、地上の相当温位が小さく上空の箱が大きければ大気は安定で雲は発達しません。
それには、地上の空気を持ち上げなければなりませんが持ち上げるのが温位です。
分かりにくいと思いますが地上と上空の空気が同じ温位(=等エントロピー)になると空気は混ざって、
結果的に上空へ持ち上がったのと同じようなものになります。
何度か紹介したのですが、偶然観測時間に台風の中心が福岡に接近した例です。
気象庁の従来の定義にしたがった解析結果は次のようなものでした。
台風なのに上空の相当温位が高く安定に見えます。
従来の定義での福岡ポイントの温位エマグラムもほとんど安定となります。
台風のエネルギー源は地表付近の水蒸気のはずですが1000メートル程度の雲しか作れないようにみえます。正直とても激しい現象が起こる分布にみえません。
しかし、地表面を基準として温位エマグラムを描くと様子が変わります。
地表付近の空気が15000メ-トルまでイッキに上昇してもおかしくないことがわかります。
地表付近の水蒸気が台風のエネルギー源であると言えるでしょう。
すこし言いにくいのですが・・・現在の温位や相当温位はアバウトな定義なのです。
P座標(xyz座標ではなく高さzの替わりに気圧Pを用いる座標系)は計算上便利ですが、物理をみないようになってしまう?。
従来の温位による温位エマグラムはP座標を基礎にしていると言ってよいでしょう。
P座標は、たしか「誤差は小さいから大丈夫なんだよ」と習った気がします。
しかし、誤差はある訳けです。先ほどの300hPaによる900メートルの誤差は乾燥断熱減率からすると9kの誤差です。
この誤差が台風の構造を隠してきたとおもいます。
(余計なことですが、誤差は850hPa程度まではたいして問題にならず雷予想程度なら従来の定義でも十分使えます。エネルギーは地表付近に溜まるので925hPaの相当温位なども丁寧に見ればほぼ確実に雷予想はできます。)
それでも天気予報が当たるは、普段、大気は安定で混ざりにくい鉛直構造をしており各気圧面の予想は正確にできること、毎日2回フレッシュな初期値を入れ替えているからです。
しかし、この誤差によりモデルが対流現象を苦手にすることは完全には解消されないでしょう。
台風のような大規模な対流現象は手が付けられなくなり、別のモデルを気象モデルに組み込むことになります。
温暖化を予想しているモデルは従来の定義を用い、初期値もフレッシュなものに入れ替えることができません。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
IPCCの予想など全くデ・タ・ラ・メだと言うことです。
鷹ノ巣山から望む富士山
そろそろよいのではないかと思います。
このブログで一番大切なテーマは「大気成分とギブスのパラドックス」です。
高名な物理学者の講義を教科書した、その教科書の間違え(ケアレスミス)をそのまま気象学者は鵜呑みしてしまいました。・・なんと情けないことでしょう。
非常識を常識にしてしまったのです。
第2法則にしたがった大気のイメージを持って欲しいと思います。
温室効果は悪い冗談ではなく悪夢です。
それも、悪夢で終わりそうもありません。
温暖化の原因は温暖化させるエネルギーを説明しなければなりません。
おそらく、そのエネルギーをたくさんの人に使ってもらわないと意味がありませんが、温暖化で不都合なことが起こるだろうとも思えます。
現在の気象の大気イメージでは不都合なことは防げないと思います。
やはり、人間は気候に影響を与えるようになったのだから、それをコントロールするべきだと思います。他の選択肢はかなりキビシイ・・
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