秋田の高層データを再び見ていきます。内容が難しくなっていますがお許しください。
「空気1㎥のエネルギー」=「エネルギー密度」は地上付近が一番高く、上空に行くほど低くなりました。
そして、高さ毎に平年と冷夏及び猛暑の年とのエネルギー密度の差を比べました。
7、8月の高度17000mは地上付近に比べエネルギー密度が1/6程度なのに、猛暑の年は高さに関係なく均等にエネルギーが高く、冷夏の年は均等に低くなっていました。
空気粒子同士の何らかの相互作用等でエネルギーを溜めこむと考えると、1㎥あたりの空気粒子は上空に行くほど数が減り、上空に溜めこまれるエネルギーは小さくなると考えられます。この現象は空気粒子が原因とは考えにくいと思います。
単純に考えると、1㎥当りに同じくらいの数の微粒子みたいなものがあって、それがエネルギー密度を均等に上げたり下げたりするイメージです。
いずれにせよ、何か非常に強い構造を大気が持っていることになります。
ここで解決できるとは思えませんが・・とりあえず月別の温位分布を改めてみてみます。
1.温位の傾き
1000hPa基準の温位は位置エネルギーを無視した欠陥概念でした。
(モデルは温暖化を予想できるのか? 参照)
ここで、使う温位は地上を0mとした温位です。
上図は1989~2010の温位を平均したもので、ここではこうしたものを平年値とします。
温位は幾つかの直線で近似できそうです。
上図は1~12月の平年値に現れた温位の代表的な傾きです。
ABは上層の傾きです。Bは太平洋高気圧の傾きと考えてよさそうです。
CDは下層の傾きです。同じ傾きですが高さの違う所に現れ不連続線です。
なんとなく、月により傾きは変わるだろうと想像していたのですが間違えでした。
Cは通年現れますが、あまりしっかりしたものではありません。
ここで使っている上層・下層は気象で使っている上層雲や下層雲とは関係ありません。
温度には10000m位から2つくらいの等温度層があり20000m位に逆転層があります。
複雑に見える温度も温位だとほぼ2本の直線で近似できました。
2つのグラフから直感的に温度の高度分布は物理的に説明すべきです。
(私にはできませんが、気象学者は説明努力をしなければならいと言うことです。)
2月も2本の傾きで近似されます。
2本で近似できそうですが下層の近似が悪くなってきました。
拡大すれば別なのかもしれませんが、温位にみられる下層のゆがみははっきりしません。
下層はCの傾きで近似できる部分と、明らかに違う部分に分かれました。
下層は近似できる高さが伸びました。上層は2つの傾きに分かれてきたようです。
7月
上層と下層の直線の交点の位置が高くなりました。
15000mあたりの気温は1月より低くなっています。
気圧は約130hPaでした。
温位は位置エネルギーとエンタルピーを加えたものをCpで割ったものでした。
温位=(mgh+CpT)/Cp
温位をエネルギーだとみなすことができれば、高い高度で気温が下がり高度が下がると気温が上がる結果は素直に受け入れられると思います。
11000~12000mに等温位層が現れました。
偶然でこんなデータは得られないと思いますのでなにか理由があるのだと思います。
金星では、理論どおり等温位層が地表付近から50000m位まで続く大気です。
説明すべきは、「地球の大気が何故等温位にならないか?」だと思います。
9月
上層は、2つの傾きが混在するようになりました。
再び2つの傾きで近似できるようになりました。
ほぼ、2つの傾きで近似できますが、下層が少しゆがんでいます。
1月の下層のゆがみは小さいですが、12、2、3月での下層の傾きが歪みました。
夏は下層の高度が高くなり不連続になるようです。8月は11000~12000mに等温位層があらわれました。
上層は夏と冬の2つの傾きがあり夏の傾きは6月から冬の傾きは10月ころから現れました。
8月の等温位層の存在や下層のゆがみはありますが、温位の傾きから、大気はなにか単純な構造をしているように思えてきましたが・・・
2.温位の分散
エネルギー密度の分散を調べるのは正直面倒なので、温位の分散を調べることにしました。
統計数学はとっつきにくいので、実際にデータをプロットしたものとその分散を計算したグラフを示します。
分散については後で説明する補足とグラフから受けるイメージだけでもよいと思います。
上は1月の5000~12000mの温位を全てプロット(青)したものです。
エンジ色の点は平均値です。
特別な分布を除き、分散は平均値からのデータの広がりを表していると考えてよいと思います。
ここで、分散のイメージを少しだけ補足します。
分散が大きくなるには2つのパターンがあると思います。
A.観測データの幅が実際に大きい
B.観測データの誤差が大きい
です。
Aは1月と1年の平均気温とその分散をイメージしてもらえばよいとおもいます。
1月は0℃になりますが30℃にはならないでしょう。
1年では0℃にも30℃にもなるでしょうから、1年の平均気温からのデータの幅、分散が大きくなります。
Bは地上付近と標高5000mの気温観測でどちらのデータに大きな誤差が入りやすいか考えるとよいと思います。
例えば地上付近を0℃で標高5000mの気温をマイナス30℃としましょう。
常識的に地上付近にマイナス5℃の誤差が入り込むより5000mにマイナス5℃の誤差が入り込む確率が高いと思います。(事実かどうかは知りませんが・・)
もし、地上と5000mのデータの幅が同じなら分散は5000mのほうがおおきくなるでしょう。
しかし、実際はデータの幅が違いますので5000mの分散が大きいかどうかは調べてみないとわかりません。
データは秋田09時観測、1989~2010年です。
以下のグラフは高さ毎の温位の分散を各月毎にプロットしたものが中心になります。
いきなり、訳の分からない分布が出現しました。
上空に向かって大きくなるイメージを持っていたのですが・・
とんでもないことになりました。
グラフの中でA点を定義したのは、夏になるとA点の下に等温位層ができるからです。
データですが
25000mを超えると分散が大きくなっています。
A点は13100mでマイナス52℃
B点7950mはマイナス45℃でした。
AB間の気温減率は(-52+45)/(13100-7950)=-0.0014(℃/m)
高度差は約5000mでも温度差は7℃しかありません。
乾燥断熱減率では約50℃の温度差が必要です。
乾燥断熱減率の7/50≒1/10程度で、ほとんど、等温度層と言ってよいかもしれません。
A点14100m 気温マイナス54℃ 高度は高くなった?ようですが気温は1月とほとんどかわりませんでした。
B点8200m 気温マイナス46℃ A点ほどではありませんが高度は高くなりましたが、気温はほとんど変わりません。
AB間の気温減率は(-54+46)/(14100-8200)=0.0014(℃/m)
AB間を等温度層と考えると厚さが1月約5000mから2月約6000mになりました。
A点には上の分散が小さい領域が近づきジグザグが少し崩れてきました。
A点14000m 気温マイナス54℃ 高度気温とも2月とほとんどかわりませんでした。
B点9450m 気温マイナス50℃ 高度は高くなり、気温も下がりました。A点に近づいているようです。
気温減率=(-54+50)/(14000-9450)=0.0009(℃/m)
より等温度になり、厚さが4500mと薄くなり始めました。
あまりはっきりしない2つの等温度層が高度をあげながら3月の綺麗な等温度層を作り上げているようにみえます。
等温度層とAB間にはなにかしらの関係があると推論してよさそうです。
25000m以上の分散が大きな領域が狭くなってきたようです。
A点は等温度層から14000mとみなしてよさそうです。温度マイナス56℃で等温度の温度は1~2℃程度低くなったようです。
B点10000m 気温マイナス51℃ 高度は高くなりましたが気温はあまりかわりませんでした。
等温度層とみてよいのでしょうが・・3月に比べるといくらか傾きをもっています。
A点は15000mかも知れませんが、等温層の厚さはやや薄くなり、傾きもややおおきくなった気がします。
B点 11250m 気温マイナス53℃
1月のA点は13100mでマイナス52℃と比べると5月のB点の高度は違いますが気温は近づいています。
等温層は無くなり、B点はA点に変質しているように思います。
強引ですが、ここからB点はA点とします。
A点 11800m 気温マイナス53℃でした。高度が上がり、気温がややさがったようです。
6月に等温度層はみられませんでした。
A点 12350m 気温はマイナス53℃ 温度は変わらず、高度が高くなっています。
C点 10500m 気温マイナス39℃でした。C点としたのは9、10月で消えてしまうからです。
データを眺めているうちに分かるかもしれませんが、等温位層と分散にもなにか関係がありそうです。
A点 12700m マイナス54℃ 7月とほとんど変わりませんでした。
C点 10850m マイナス40℃でした
7月と同じ高さに等温位層があります。7月より少しひろいかもしれません。
少し期待していたのですが、等温度はやはり偶然として考えたほうがよいでしょう。
A点 12700m マイナス54℃
C点 10600m マイナス38℃でした
A点は12600mか13700mなのですが、これまでの温度とのバランスから12600mとします。温度はマイナス54℃でした。13700mはマイナス59℃でした。
C点は消えジグザグ構造ができはじめました。
等温位層はあったとしても高度を下げ、範囲も狭くなっていました。
A点は12750mで温度はマイナス55℃でした。
A点 13350m 気温マイナス56℃
B点 8900m 気温マイナス44℃
気温減率=(-56+44)/(13350-8900)=-0.0027
等温度層はできていないように思えました。強引に高さレンジを変えてみるとA点から1000m程度の等温度層ができかけているようにもみえます。
A点 13150m 気温マイナス54℃
B点 8650m 気温マイナス47℃
気温減率=(-54+47)/(13150-8650)=-0.0016
やはり、きれいな等温度層はありませんがA点は1月に近づき、等温度層もできはじめているようにみえます。
これが3月の綺麗な等温度層へつながるように思えます。
筑波山のように、空気、地表、地中の相互作用を考える必要はありませんから、等温度や等温位にする何者かが存在するあるいは存在しないと思います。
こうした等温度層や等温位層そして複雑な温位の分散をみると温室効果など改めて冗談にしか思えません。
温室効果でモデル作りをしている学者さんは、こうした現実をみたことがあるのでしょうか?
みたことがあるなら温室効果など信じないでしょうし、みたことが無いなら現実を見ずにイイカゲンにモデルを作っているわけです。
さて、私の考え方は
「大気中には目に見えないオーブのような氷粒や水粒があり、それが乾燥断熱減率からのずれを生み出しているのではないか?」
水蒸気はギブスのパラドックスにより、上空にもっとたくさんあるべきです。
しかし、上空は温度が低く水蒸気はオーブのような見えない氷粒や水粒になって、その存在を減らします。
そして、その際の潜熱で上空の空気を暖めます。
出来た氷粒や水粒は地表へ向かって落ち下の空気を冷やします。
こうしたことが絶えず繰り返され、温度減率が乾燥断熱減率からずれるのだと考えています。
水粒がオーブのような大きさなら、その温度は湿球温度になります。事実、筑波山の地表面は夕方から湿球温度になりました。
想像を膨らませてみます・・・・
「チョモランマ」山頂付近の写真でも雲は映っています。
写真を見る限り13000mに雲ができてもよさそうです。
さて8000~13000m等温度ですが、雲のできやすい温度層なのかもしれません。
ただ、秋田の観測で湿度は12000m程度が限界のようで、値も90%を超えることはほとんどありませんでした。
下のグラフは、北東気流と呼ばれる現象が起きたときの温位エマグラムと湿球温度です。
2000~2500mは飽和相当温位=相当温位となっていますから、ほぼ湿度100%です。
一方、湿球温度は等湿球温度となっています。
湿度100%ですから湿球温度=気温となります。
2000~2500mは等温度層になっているわけです。
この時の雨は霧雨のような雨だったと記憶しています。
こうした、雨が2000~2500の大気を等温度にしていると考えられます。
2000m以下は湿度100%ではありませんが、気温は明らかに霧雨の影響を受けています。
気象予報士さん(気象庁も?)は今でも冷たい北東吹き気温が上がらなかったと間違った解説をしているようです。
地上高気圧のなかでは地上付近に冷たい北東風が流れ込むと、地表が冷たくなり上昇流はできず晴れてしまうはずです。北東気流は原因ではなく結果です。
詳細は省略しますが、原因は1500mから上で南東風が高気圧の上に乗り上げ小雨を降らせる為です。目に見えないほどの小雨になるかもしれません。
その小雨は湿球温度で地上付近の高気圧を冷やします。
冷やされた高気圧は高気圧循環が強まり北東風が吹くわけです。
また、地上高付近の高気圧は冷たくなりますから、1500m位ではさらに南東風が乗り上げやすくなり、現象がしつこく続くことになります。
余計なことが長くなりました。
本論です。
8000~13000mが湿度100%でこのような氷粒が存在すれば等温度層ができるはずです。
しかし、観測データをみるとこの高さで湿度が100%になることはなさそうです。
ただ、気象庁の相対湿度は液体の水の飽和蒸気圧をもとに計算しているようです。
(実際に軽井沢冬期の相対湿度を検算したら液体の水の飽和蒸気圧を基礎にしていました)
実際は氷の飽和蒸気圧を基礎にしなければなりません。
実際は湿度100%になっているかもしれません。
ここで仮定に仮定を重ねることになりますが、小さな氷粒は周りの空気の温度より低くなり存在は可能です。(雲粒は湿度100%以上でないとできないか? 参照)
ただ、気象庁の相対湿度は液体の水の飽和蒸気圧をもとに計算しているようです。
(実際に軽井沢冬期の相対湿度を検算したら液体の水の飽和蒸気圧を基礎にしていました)
実際は氷の飽和蒸気圧を基礎にしなければなりません。
実際は湿度100%になっているかもしれません。
ここで仮定に仮定を重ねることになりますが、小さな氷粒は周りの空気の温度より低くなり存在は可能です。(雲粒は湿度100%以上でないとできないか? 参照)
また、こうしたことがないと水蒸気圧が上空で極端に無くなることが説明できないのです。(ギブスのパラドックス参照)
しかし、これでは8000~13000mに雲粒があってもよい程度です。
このあたりが私の限界です。
ところで、私が温暖化を嫌うのは、気象現象が激しくなると思うからで、好き嫌いのレベルです。
氷が溶けるとか温暖化にまつわる様々な現象について興味はありません。
原発問題は別ですが・・
また、温暖化とは、地表付近の温暖化と勝手に思い込んでいたのですが・・・
100年で平均気温が数℃上がる現象のようなので
エネルギーは対流圏を超えて溜まり、暖まっている可能性があるように思えてきました。
成層圏にエネルギーを送り込めばなんとかなるかもしれないと思ったのはあまかったようです。
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