私は奇妙な気温の上昇を体験したことがあります。
小雨が降る中、雲の切れ間から日が射したとたん気温が上がり露点が下がりました。
日が射しても小雨が降っている状態ですから地表面の温度が上がる訳はありません。
「空気が可視光を吸収する?」「露点(水蒸気圧)が下がるのは何故?」・・・・
「何故だかわからないが、エネルギー保存則は満たしているのだろう。大気中での蒸気の減少は水蒸気が液体の水になった。水になった分の潜熱が気温を上げたのだろう。」
と、真偽は分かりませんが…納得して
「ずいぶん変わった事が起こるものだ」
と思ったのを記憶しています。
筑波山のデータをみると大気の温度変化は大気や地表を冷やす要素などが複雑に絡み合っていることがわかりました。
日照によってすぐに大気が暖まるわけではありませんでした。
そして、南極のデータをみていると大気潮汐が日射より大気が暖まり軽くなって起こるとの考えは正しくないと思うようになりました。
赤外線で大気が暖まるなど第2法則に反しますので論外です。
大気が赤外線を吸収しても、大気を暖めるほどの赤外線量はもともと存在していません。
今回は南極の高層資料で気温を中心に気圧の関係をみていきます。
昭和基地のデータは気象庁のホームページから得ました
地上データ 1990~2010年 (毎時の記録が揃ったデータ)
高層データ 1989~2010年
筑波山のデータは「筑波山気象・水文観測プロジェクト」からダウンロードしました。
筑波山気象・水文観測プロジェクトのホームページ
データがダウンロードできるページ
機器構成
1.南極昭和基地の気温と気圧
1-1地上気温と気圧
高層データをみる前に、地上の気温と気圧の関係を筑波山のデータで復習しておきます。
昭和基地と近いのは筑波山の2月だと思われますので比べてみましょう。
地表の温度は昼過ぎから下がり始めますが、c領域の時間帯は地表が空気を暖め気温が上がります。
細かいことを気にしなければ最高気温は地表温と気温が交差する時間と考えてよいと思います。
気温のピ-クと気圧の低極の出現時間が少しずれているのが気になりますが・・
作業仮説として、気圧のへこみは気温が上がったため膨張し、水平方向へ空気が流出したためと考えてよさそうです。
南極の大気潮汐は地上気温と全く関係がなさそうですので、上空の大気潮汐がそのまま表れたと思われます。
日本のように、日射により1500m程度まで等温位になることは南極では無いと考えてよいと思います。(後出の昭和基地12Zの温位エマグラム参照、12Zは南極では15時にあたります)
俗説的に12~15時の間に低極がでるとすると、日照と大気潮汐は直接関係がないように思えます。
(俗説的とは、日照により地表はエネルギーを24時間得ているのに何故気温が上がり続けることがなく日変化がおこるのか?答えられないからです。)
しかし、日照と直接に関係がなくとも、大気潮汐のエネルギー源は間接的に日照と考えてよいでしょう。
筑波山の気温も日照とは直接に関係ありませんが、地表や地温を通して間接的な影響を受けているのは明らかです。
また、日変化を起こす地表面を冷やす「何か」の影響も受けています。(筑波山シリーズ参照)
すると気圧もこの「何か」の影響を受けているかもしれません。
昭和の高層資料で気温と気圧の関係を調べてみましょう。
1-2昭和基地の気温高層資料
昭和基地ではグリニッジ時+3時間で生活しています。高層観測はグリニッジ時の0時(00Z)と12時(12Z)に世界中で同時に観測されます。
00z,12zは昭和基地では3時、15時にあたります。ここでは日照の影響が比較的少ないので、00zのデータを中心にみることにします。
1-2-1気温
気温データをみる前に南極の日照が最大になるのは12月で6月は日照がありません。また、日本の日照が最大になるのは6月ですが、夏が8月になるのは気団が入れ替わり太平洋高気圧に覆われるためであることに注意しておきましょう。
私は南極について、何も知りませんが気団の入れ替わりがあるとは考えにくいと思います。
昭和基地の地上月平均気温は1月が一番高く、8月が低くなるようです。
標高は18.4mのようですから、海面から約20mの温度を観測しています。
月別高層の気温を見ましょう。
高層資料は高度50mと200m単位でまるめました。
大雑把に200m毎の平均気温ですが、0mの温度は標高100mの温度に近いと思います。
100m程度の誤差は含んでいると言うことです。
私はこれほどの高さまでプロットするのは初めてです。
対流圏界面とはなにかよく分かりませんが、対流圏の上と考え常識をたよりにします。
1~4月は対流圏と対流圏界面の間で逆転層が形成され、対流圏の最低気温は標高8600~9000mで出現しています。
しかし、対流圏界面の動きはかなりダイナミックですね。
地上から逆転層までの気温は直線的に下がっています。
この気温減率を計算してみました。
気温減率
1月 -0.563 ℃/100m
2月 -0.565 ℃/100m
3月 -0.538 ℃/100m
4月 -0.537 ℃/100m
となりました。
気温減率の最大と最小の差は0.03℃/100m程度ですから、100mの平均気温から標高8000mの温度の平均を予想しても2.4℃程度の誤差しか生じないはずです。
1月 の00z,12z(現地時間3時,15時)の温位エマグラムをみると温位も直線的上空に向かって上がっています。
1月ですから00Zでも 日照があります。
日照があるにもかかわらず、地表付近で等温位になることはなく、超安定な大気で日射のエネルギーは見かけ上大気に供給されていません。
地上の気温が上空の気温に影響を与えているとは考えられません。
逆に、気温減率は安定(直線的)していますので上空の気温が地上の温度に影響していると考えられます。
地上の気温は逆転層の温度と高さによってきまると考えてもよさそうです。
また、00zは日照があるにもかかわらず、200m程度の冷気が溜まり、12zでも全く等温位層が上空に広がりません。
これでは、長野県や山梨県によくできる熱的低気圧は南極ではできません。
やはり、南極の大気潮汐は上空の気圧変動とみるべきだと思います。
2)5~8月
6月は日照がなくなる月です。1月から日照が弱まると対流圏と対流圏界面の境界が10000m辺りから25000mに移り、8月には境界が20000m辺りまで降りてくると考えてよいのでしょうか?
点線は乾燥断熱減率の傾きを表しています。
6月の極夜からさらに冷える8、9月へ向かって乾燥断熱減率を示す領域が出現します。
黄色く着色した領域は温度減率が乾燥断熱減率に近く興味深い領域です。
理想気体に近く風向・風速が揃っているかもしれません。
余計な事ですが、関東で日中に地上から800m程度が等温位(等エントロピー)になると、上空800mの強風が地上でも吹くのはよく経験するところです。(現場では「混合対流が起きて、上空の風が降りてくる」と教えられました。訳の分からない理屈なので経験則と理解していました。)
ひょっとすると強風帯に対応しているかもしれませんが、風のデータはダウンロードしていませんのでわかりません。
また、高度2300mでは6と8月の気温が逆転しています。
現地気圧は気温の高い6月が高く、気温の低い8月が低くなっています。
ちなみに0mと23000mの気圧差は
6月 963.6hPa
8月 960.0hPa
でした。・・・???
細かい事は省略しますがこのことは6月の空気のほうが暖かいのに1㎥あたりの質量が大きく、重くなっていることになります。
観測誤差??でしょうか?
今のところ根拠はありませんが、観測誤差ではなく観測事実だと思います。
このことは高さ毎の気圧について調べれば判断できると思います。
調べるのは次回にし、ここでは観測事実として進めます。
大気潮汐の考え方は、上空の大気が可視光を吸収し暖まり軽くなって潮汐が起こるとしたものでした。
しかし、現実の南極大気は温度が高いからと言っても軽いとは限らないと言うことで、空気の質量密度を変えるのは温度以外にも存在すると考えるべきだと思います。
日照が増えるステージで17000以上の空気の昇温が顕著で極値の高度は降りてくるように見えます。日照が最大になる12月に何かが壊れて10000m付近で逆転層が形成され、その後4月にかけ8800m付近まで降りてくるように思えます。
8から10月にかけては20000m付近から上で気温の上昇が顕著で、10から12月は10000~23000m付近の空気の気温上昇が顕著です。
12月は日照が最大になる月です。
15000mで温度の飛びがありますが、本当か?と疑いたくなります。
何かのシステムが壊れたイメージです。
その前兆は8月は25000m、10月は20000m付近に現れているのかもしれません。
12月は日照が最大になる月です。
15000mで温度の飛びがありますが、本当か?と疑いたくなります。
何かのシステムが壊れたイメージです。
その前兆は8月は25000m、10月は20000m付近に現れているのかもしれません。
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長くなりましたので、高層資料による気圧は別にします。
本当に温かい空気の質量密度が大きい(重い)のかが分かるかもしれません。雲取山避難小屋
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