2011年11月18日金曜日

筑波山の地表温を決める要因

筑波山の地表温を決める要因

気象台では観測される露点温度が正常な値を示しているか湿球温度を観測します。
適当な大きさがあれば雲粒の温度は湿球温度と考えられます。湿度エマグラムと湿球温度 雨雪判別 参照)

湿球温度と地表温の相関から目に見えない(?)雲粒が地表温に影響していると推察されます。
ところで湿球温度は、水蒸気を含めた空気のエネルギーに関係しています。
ここでは、湿球温度の要素である「乾燥空気のエンタルピー」と「水蒸気が液体や固体になる時のエネルギー」を用いて地表との相関関係を調べてみました。

1.  地表温と2つのエネルギーとの重相関
湿球温度は近似的に
CpTLETd/PCpTwLETw/P
の関係があります。
Cpは定圧モル比熱、L1モルの水蒸気が水になる時のエネルギー
Tは気温、Tdは露点温度、Twが湿球温度、E(Td)E(Tw)はそれぞれの水蒸気圧です。
CpLは定数なのでTwの要素はTETd/Pとみなすことができます。
この2つの要素と地表温の相関を調べればよさそうです。
数値的にETd/Pは小さくなりすぎるので視覚的に扱いにくいので1000ETd/Pを用いました。

1-1地表温と相関係数
 エネルギーを基本に考えますから地表温と相関をとる要素を
CpT→T     をE1 (乾燥空気のエネルギーorエンタルピー)
1000ETd/P  をE2 (水蒸気のエネルギー) 
Tw        はTw (湿球温度)
Twi        はTwi (氷をベースにした湿球温度)
とします。
TwiLを水蒸気が水ではなく直接氷になるとしたときの湿球温度です。
相関係数等はエクセルで計算させました。

下グラフに1月の時間ごとの相関係数を示します。



TwとTwiの違いはほとんどありませんでした。

(相対湿度と気温から蒸気圧をもとめるています。・・ただ、もとデータが水か氷の飽和蒸気圧を用いて相対湿度を計算しているか不確かさが残ってしまいます。)
日変化をみてもTwTwiの違いはほとんどありません。






1,2,3月は夜間の地表温が湿球を下回るのですが、その原因は水と氷の潜熱の違いによるものではありませんでした。

1-2地表温と2つのエネルギーとの重相関

湿球温が雲粒の温度とするのは私の仮定ですが、現実に湿球温度は雨雪判別に役立ちます。

気温が圧力や水蒸気圧に直接影響を与えるとは考えにくく、湿球温度の要素E1E2は独立した要素であることは明らかだとします。

(バカらしいすが・・温室効果では水蒸気圧が気温や地温に影響を与えることになりますが・・。)


地表温とE1E2の関係を統計的に調べてみます。


方法は2段階で
a.地表温の予測値をTirfとしてエクセルで
Tirf=aE1+bE2+c    (1)
と予測式をつくります。
(エクセルのアドイン関数で簡単に作れます。このあたりの数学は適当な教科書を参照願います。私には解説できません。)
(1)を地表温の重回帰と呼ぶことにします

b.重回帰で計算される結果と実際の地表温との相関係数を調べます。
以下は1,4,7,10月の結果です。




        
重回帰は時刻別に作っていますからa,b,cは時刻によってそれぞれ違う値になることになります。


 E1は気温、E2は大雑把に言って露点や水蒸気圧に対応すると考えてよいでしょう。


 日中は相関係数が高い順は重相関、E1TwE2となります。
 夜間は重相関とTwはほとんど同じで次にE1E2となりました。

 15時のTw対重回帰を比べましょうし。結果は下グラフになりました。

 

 特に他を確かめる必要はないでしょう、私の勝手な「夜間の地表温は湿球温度になる」と言う仮説は「冬季の夜間の地表面温度は湿球温度に影響される」に修正しなければなりませんが統計的にも確かめられたと思います。
 
 日中、重相関とE1の相関係数は高くなっています。
 地表温とE1の相関が高いのは、地表が1.5m上の空気を暖めるとする常識的な結果で当然だとおもいます。
重相関がE1をわずかに改善しているように見えますが経験的に統計のマジックだと考えられます。
とくに確かめませんでしたが、「独立資料」=「これから観測される値」を使って検証すればE1が一番確からしくなるでしょう。

 日中、E2→蒸気圧が地表温と無相関となるのは納得できるところです。

水蒸気(温室効果)があると、地表や気温が暖まると言う観測結果などないのです。

今のところ、冬の夜間に地表温が湿球温度より低くなる理由はわかりません。
地表温は雪面になれば露点温度の影響を受けるかもしれません。また、風の影響も想像されます。・・・
結論するのは早いかもしれませんが露点温度や風速による顕著な相関は見えてきませんでした。

下のグラフは123月の05時までの「湿球 対 地表温」をプロットしたものです。



縦軸が湿球、横軸が地表温です。
地表温が5℃以上ですと相関がよく、5℃以下は相関が悪くなることが見てとれます。




データは「筑波山気象・水文観測プロジェクト」からダウンロードしました。
筑波山気象・水文観測プロジェクトのホームページ
http://mtsukuba.suiri.tsukuba.ac.jp/
データがダウンロードできるページ
http://mtsukuba.suiri.tsukuba.ac.jp/sub6.html

機器構成
http://www.weather.co.jp/mtTsukuba/drawing/mtTsukuba_gif_2.gif

気温は地表から 1.5メートル
地表温は地表
地温は地表から マイナス1センチ
の温度です。






雲取山の霜

私は地表面の温暖化を否定しているわけではありません。
その原因が根拠のない温室効果ではないとしているのです。

環境派とか言われている人たちが無責任に
 ゴアさんの

「地表の温度は温室効果が無ければマイマス19℃になると言われています。」

と全く根拠のないうわさ(嘘?)を広めた結果

 知らないうちに

 原発で発電していれば温暖化しない
 
 との馬鹿げたイメージや願望が出来上がっています。

 結果的には政治屋の勝利なのかもしれません。
 ゴアさんが政治屋かどうかしりませんが・・・

 政治家の方には楽をしないで下さいと申し上げます。


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