2010年11月21日日曜日

CO2と温室効果

温室効果批判は温室効果のメカニズムにまとめましたのでこちらご覧ください。




私は
「温室効果の説明で、CO2が赤外線(エネルギー)を吸収して地球の表面温度が上がるとするまともな理論はありません。」
と言いました。
温室効果の説明は熱力学第1法則や第2法則に反するものばかりです。

温室効果の根拠として放射平衡温度と地表面の温度の違いがよく用いられます。
説明に入る前に放射平衡温度(本来は放射定常温度とでも言うべきものですが・・)について検討しておきます。
詳しい説明や式の展開は・・・例えば
を参照してください。
説明や式を追うのは難しくないと思います。

1.放射平衡温度の検討
紹介したサイトの説明から放射平衡温度は地球の断面積を表面積で割る必要があることがわかると思います。
断面積と表面積は地球の半径の2乗に比例しますから
放射平衡温度は地球の半径とは関係がなくなってしまいます。

放射平衡温度と地球の半径(高さ)に関係ありませんのでエベレスト山頂、富士山頂、海抜0mでも同じ温度になります。
地球が月と同じ大きさでも放射平衡温度は変わりません。

「放射平衡温度が地表面の温度である」が誤りなのです。

だいたい、地表面のガス惑星の放射平衡温度はどこにあるのかと問えば根拠のない話であることがすぐに分かります。

もう少し、放射平衡温度を検討しましょう。
紹介したサイトでは、アルベドがA=0.3位とあります。30%程度の太陽エネルギーを反射していることになります。
この反射がなくアルベドがA=0だとすると、放射平衡温度Te=260kとなります。
地表面の温度は熱力学第1法則(エネルギー保存則)から260k以上にならないことになります。


しかし、実際に地表面の平均温度は288Kで太陽から受け取る以上のエネルギーを放射しているのです。
温室効果はこうしたエネルギーを説明できません。


この矛盾を説明するには放射平衡温度は上空5500m位のところにあると考えるしかありません。
放射平衡温度の大雑把な計算では放射平衡温度の位置まで特定することはできないのです。



2.金星の表面温度
さて、乾燥断熱減率*1は地球や金星で1001℃になります。上空から100m地表に近づくと1℃温度が上がることになります。

このことを少し説明しますと…

理想気体の温度は気体成分粒子の平均運動エネルギーに比例することはよく知られている所です。

重力場の中で気体成分粒子は運動エネルギーと位置エネルギーも持っています。

風がなくまったく変化しない平衡状態になったとしても、気体粒子は重力場内を飛び回ります。
平衡状態でないとしても、理想気体は平衡状態に向かって常に変化しているはずです。

平衡状態では気体粒子は上から下へ、また、下から上へと飛び回ります。
そして、上から下へ向かう粒子数と下から上に向かう粒子数は同じになっていなければなりません。

もし違えば、一方的に圧力が低くなったり高くなったり変化が続くことになり、平衡状態に向かわないことになります。

どの高さでも、上から下へ向かう粒子は位置エネルギーが運動エネルギー等*2になり温度が高くなります。
逆に下から上に向かう粒子は運動エネルギー等が位置エネルギーになり温度は低くなります。
こうして、H2Oがない金星は100mで1℃の温度差*3を持たざるを得ないのです。

理想気体みなせるCO2が主体の金星は理論値と一致しています。

金星は雲の高さまで50km程度あり、地表面と雲との間には500℃程度の温度差が必要となります。


金星の放射平衡温度が雲の表面付近にあるとすれば、金星の地表面が高温であることは説明でき温室効果など必要ありません。


さて、
地球は理論から外れて100m毎に0.6~0.8℃の減率*4です。
放射平衡温度のある上空5500mを基準にして考えると地表面の平均気温は11~22℃低いことを意味します。


地表面温度の謎は金星ではなくむしろ地球にあります。
100m毎に0.6~0.8℃の減率は大気が安定であることを意味します。
気象学者は安定状態に興味がなく理論値から外れていても不思議に思わないのです。

理論から外れたことを不思議に思わないので進歩の歩みは遅くなります。
私には気象が放射冷却にとらわれて堂々巡りをしているように思えます。

しかし、こうした冷却現象(放射冷却)は水蒸気圧が重要なファクターであることを統計処理から割り出しています。
頭の良い人は違うなあとしみじみ思います。


3.CO2は地表面の温度をあげるのか?
さて、本題に戻ります。
困ったことに「間違った推論」を政治家は科学的根拠と読み替えてCO2排出25%などと「間違った政策」が立てられています。
迷惑な話なので、CO2が地表付近を温める可能性について検討してみましょう。
CO2が赤外線を吸収して、地球大気に影響を与えて地表面を温めるとしたら、
地表面の温度以外どんな物理量が変わるのか考えてみます。

1.反射率が変わる=放射平衡温度が変わる
2.温度減率が変わる
3.放射平衡温度がある高さが変わる

こんなところでしょうか?
どれもばからしい考えですが、温室効果があるとすれば1~3のいずれかのカテゴリーに入ってくると私には思えます。

いくつかの温室効果の説明を眺めていると、
放射平衡温度は変わらないことを前提にしていますので1は考えなくてよいでしょう。

3も問題にしている説はありませんし、現実的でもないので考えなくてもよいでしょう。
(私と同じように放射平衡温度は上空にあると考えておられる常識的な先生はいます。)

2は確かに温度減率が大きくなれば放射平衡温度も変わらず地表面の温度が高くなります。

また、小倉先生の「一般気象学」[第2版](東京大学出版会)P121~122*5でも温室効果気体があれば地表面の温度が高くなるとありますので、一応これは検討しておきましょう。
(誤解されると困りますので、皮肉ではなく「一般気象学」は気象を勉強する人はだれでも持っている入門書の中でも良書です。
でも、教科書に書かれて事柄を「信じる」か「信じない」のか、あるいは「どのように解釈する」のかは自己責任です。)



さて、本来は乾燥断熱減率(理論値)と実際の温度減率の両方を考えるべきですが、
CO2だらけの金星は乾燥断熱減率=実際の温度減率ですので、乾燥断熱減率について考えれば充分です。

金星とは違い、地球大気の主成分はN2やO2なのでCO2が増えれば乾燥断熱減率を変わる可能性があります。
検討すると、乾燥断熱減率は-mg/Cpと計算されます。
mは空気の平均分子量、gは重力定数、Cpは定圧モル比熱です。

このなかでCO2が変化させることのできる量はmとCpです。
CO2の分子量とCpはともに乾燥空気より少し大きい値です。


結果、CO2が大気の成分比の1%程度になっても乾燥断熱減率の変化は事実上ありません。


CO2は赤外線の吸収と放射をするそうですので、それでCpが変わる可能性はどうでしょうか?

これでCpが変わるなら、赤外線があふれる中(常温)でCpの値が決定できないことになってしまい事実と反します。

Cpの値は正確に決定できて、実際の値も理論値にきわめて近い値です。
また、金星の温度減率は理論値どおりなので金星では温室効果が起こっている根拠はありません。

それにしても、無いことを無いと証明するのは大変です。
これだけ考えても「CO2で大気の温度減率はかわらない」と説明しただけです。
私も、堂々巡りをしているようです。




4.「環境省の温室効果のメカニズム」を批判する

なにか拍子抜けした検討になりました
環境省の
温室効果のメカニズム」
http://www.nies.go.jp/stop-ondanka/2008/pdf/06-07.pdf
を批判しておきます。
私はこのパンフレットの内容について質問したのですが無視されています。
たくさんの税金を使って作られているはずなのに、環境省は無責任な役所だと思います。

私の質問はさておき、温室効果のメカニズムには根拠のない図や噂が載っています。
パンフレットは要するにCO2の再放射が、CO2のない大気が放射する赤外線にプラスされると言っているようです。

私の質問はさておき、温室効果のメカニズムには根拠のない図や噂が載っています。
パンフレットは要するにCO2の再放射が、CO2のない大気が放射する赤外線にプラスされると言っているようです。

さて、CO2が赤外線を放射してないかと自問自答すれば、
「CO2のある所の温度に対応する赤外線を放射している」となります。

CO2のある空間はCO2の熱容量よりはるかに小さいのでCO2の温度に対応する赤外線を放射することになります。
(朝永振一郎先生の「量子力学Ⅰ」みすず書房 P12参照)

当然CO2が近傍の環境と同じ温度ならCO2の存在の有無で地表に向う赤外線を変化することはありません。

増加させるためにはCO2自体の温度が上がる必要があります。

温度が上がるためには放射元の温度が問題で、それが太陽なら温度が上昇してもかまいません。
しかし、太陽からの赤外線を吸収するとした温室効果論はいまのところ無いようです。
(アルベドが変わってしまいます)

放射元が近傍の環境なら第2法則から、CO2はいくら赤外線を吸収しても環境の温度以上にはならないことになります。
赤外線の増加はありません。
難しいことを言うとボロがでますが、おそらくこれがキルヒホッフの法則言っている事だと思います。

結論は
大気はCOの存在の有無にかかわらず大気中の赤外線の増減はなく、従って地表に向う赤外線を変化させることは無い」

環境省の「温室効果のメカニズム」は国が国民をだます説明です。

5.Wikipediaの説明
Wikipediaの冒頭の説明はまるで熱素説です。
エネルギーと呼ばれる熱素が溜まっても温度が上がるとは限りません。
今後解説する予定ですが、大気は水蒸気の形でエネルギーをため込む事実があります。
また、 
放射と吸収の原理
放射された電磁波は吸収特性をもつ物質に吸収され、その物質の熱振動へと変わり、その物質を暖めることになる。」
とありますが、
たとえこのようなことがあったとしても「放射もと」の温度が物質の温度より高くないと物質を温めることはできません。
放射もとの温度が高いのなら、地表面温暖化原因は温室効果ではなく「放射もと」となります。

Wikipediaの性質上「温室効果」を説明する必要はありますが、温室効果は仮説であることを明示すべきです。


乾燥断熱減率とは大気中に水が無いとしたときの温度減率で、理論値では100m上昇する毎に1℃下がります。
山頂から見れば100m降りる毎に1℃上がることになります。
日中、晴れて地表が温められ、地表付近の空気が上昇して1500m位までこうした温度減率になります。
最高気温の予想がまだ正確でなかった時代、現場の予報官が利用したテクニックの1つでした。

「運動エネルギー」と歯切れの悪い表現になったのは
平衡の条件が
「理想気体1モルあたりのエントロピーはどこの場所でもおなじでなければならない」
という要請からくるものです。

熱力学の準静的断熱圧縮はエントロピーを解説する読み物で、よく話題にされるテーマですがわかりにくい印象があります。
「運動エネルギー」の等は準静的断熱圧縮の親戚みたいな量で、なかなか物理的イメージがつかめない量です。 
今後説明する予定です。
(難しいので。数式並べて誤魔化していたらごめんなさい。数式を使わないって意味ではありません。大学1年生程度の数式は使います。)

熱力学第0法則から、大気の温度は高さによらず一定ではないのか?と疑問を持つ方がいるかもしれません。
熱力学第012法則はいずれも経験則です。
重力場内で大気が温度傾度を持つことはエネルギー保存則(第1法則)とエントロピー増大則(第2法則)から導かれる平衡条件=エントロピー極大から導かれるものです。
平衡条件は温度が同じになることとイコールではありません。
0法則は0℃の氷と塩(NaCl)を接触させたもの(0℃以下になる)を改めてと0℃の鉄(Fe)と接触させれば熱の移動が起こるように絶対的な法則ではないのかもしれません。

水蒸気の飽和で0.6~0.8℃の説明がなされることがありますが、雨が降っていても湿度が100%以下なのはざらで、むしろ100%以上の過飽和無状態はめったにありません。
私は盆地で100%以上の湿度を経験したことがありますが、その時は逆転層の上にある暖かい雲から降る雨によるものだと判断しました。
一緒にいた同僚たちも、こんなことが起こるものなのかと驚いていました。

「温室効果で地表面の温度は上にある空気の温度より高くなる」と説明されていますが…
地表面の温度が高いことを説明するなら静水圧平衡で説明するのが適切です。
温室効果によって地球大気の温度減率の絶対値が乾燥断熱減率より大きくなる等の物理的な説明があれば
もう少し安心するのですが・・
(仮定があいまいなので温度の減率は具体的に計算できない説明に思えました。物理的な説明とは言えないと思います。)

もっとも、地球大気の温度減率の絶対値は乾燥断熱減率より小さいので
地球大気では温室効果は起こっていないことになってしまうのかもしれませんが・・・

放射冷却に関係した部分があったのでちょっと脱線します。
後半の説明で「雲からの地球放射を地表面が吸収する」となされていますが、(雲がないとき空気からの地球放射を地表面が吸収しない印象を私は持ちます。)
例えば、上空1500mの温度が0度だとして雲がある場合は雲からの地球放射を地表面は吸収するが、雲が無い場合は空気からの地球放射を地表面は吸収しないと言ったような印象をたぶん無意識的に与えていらっしゃると思います。
空気からの地球放射を地表面は吸収します。

…難しいことにあまり首を突っ込まないほうがよいと思うので  以下のことは無視して下さい   …

私は「空洞輻射は物質からの放射ではなく、空間からの放射」
と考えいます。
空洞輻射は単位体積当たりの光のエネルギー密度を論じるもので、光によるエネルギー密度は絶対温度の4乗に比例するとするもののようです。

乾燥空気の1モル当たりの内部エネルギーはCvTでなので、P(圧力)かV(体積)がわかれば単位体積当たりのエネルギー密度が計算できます。
こうしたエネルギー密度を比べると、空間のほうがけた外れに小さいことがわかります。

だから、朝永先生の御本で「だから、物質の熱容量を計って決定できる」趣旨の記述があったと記憶してます。

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