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2011年1月21日金曜日

温位エマグラムとSSI(ショワルターの安定指数)


温位エマグラムの応用例(沿岸前線)をいきなり解説したのは適当ではなかったかもしれません。

そこで、温位エマグラムとショワルターの安定指数(=SSI)を比較してみます。
そして、大気不安定の事例を見てみます

SSI850hPa500hPaを比べ、雷雲が発達しやすいかどうか判断する参考資料です。
850500hPa2つの層だけを対象にしますので、SSIを勉強した方はもっと一般的な方法はないものかと不満を持っているはずです。
実はその一般的な方法が、「飽和相当温位―相当温位」を比べることによって得られます。


1.温位エマグラムとSSI(ショワルターの安定指数)
ショワルターの安定指数SSI
SSI T500T850´   (1-1
で定義されます。
T500500hPaの温度です。

T850´は850hPaの空気に関係する温度なのですが後で説明することにして、先にSSIと「Θe500Θe850」の関係をみます。Θe500500hPaの飽和相当温位、Θe850850hPaの相当温位です。
その関係は
SSI<0なら Θe500Θe850<0
SSI>0なら Θe500Θe850>0
となります。
SSI0なら雷雲が発達しやすく、SSI>0なら発達しにくいとされます。

次のグラフは2008080409時舘野の速報値から作成しました。
グラフのθ500-θ850はθe500-θe850
の誤りです。



このとき850hPa1495m、気温19℃、露点温度11℃、500hPa5890m気温-4.7℃でした。
T850´=-9.0℃SSI=4.3と計算されました。
SSIだけを指標に判断すると大気の状態は安定で、雷雲は発達しにくいと判断してしまいます。
しかし、グラフから1000m以下の相当温位は500hPaの飽和相当温位より高く、単純に大気は安定であると判断すべきではありません。
実際に、山梨県大月市で841940分までの1時間に79ミリの雨が観測されました。

この事例は5 日に東京都豊島区で下水道工事中の作業員がマンホール内で流され、5 名のかたが死亡された例です。
2.大気の状態不安定による大雨(200884日~89日)」で少し時間を追ってまとめてみましたので参考にして下さい。


さて、すこしややっこしいですが 
ショワルターの安定指数SSIΘe500Θe850を比べてみます。

Θe500500hPaの飽和相当温位で
Cp×Θe500Cp×T500mgh500L×E500/(P500E500)   (1-2
となります。
飽和相当温位は湿度100%と仮定したときの相当温位ですから、E500は500hPa飽和水蒸気圧です。


また、またΘe850850hPaの相当温位で
Cp×Θe850Cp×T850mgh850L×E850/(P850E850)    (1-3
となります。
ここで、T500T850h500h850E500E850はそれぞれの気圧面の温度、高度、水蒸気の分圧です。

850hPaの空気を風船に入れて持ち上げるのですが、Θe850を変えないようにh850からh500まで持ち上げます。
その際に使うエネルギー源は Cp×T850L×E850/(P850E850)です。
初めはCp×Tを使って持ち上げるので温度が下がります。
温度が下がると、湿度が100%となります。

湿度100%なると、水蒸気が氷(モデルの開発者の説明を聞いたことはないのですが氷になるとして計算されるのが一般的なようです)になる際の潜熱も位置エネルギーに変えていきます。
結果T850E850P850が変わります。
変わった値をT850´E850´P850´とすべきですが、P850´500hPaまでの高さh500まで持ち上げますのでP500と近似します。

エネルギー保存則から(1-3)は

Cp×Θe850Cp×T850´mgh500L×E850´(P500E850´)(1-4

となります。
少し面倒な計算をするとT850´が求まります。
このT850´を使って

ショワルターの安定指数SSI
SSI T500T850´   1-1
で定義されます。

エネルギーとエントロピーを変えずに850hPaの空気を500hPaの高さまで持ち上げた時の温度を比べている訳で、T850´T500より高ければ(SSI<0)、風船の中の質量密度が500hPaより小さくなり、浮かぶことになります。

SSIとはSSI<0なら、積乱雲が発達しやすいだろうと言うアバウトな指数です。

Θe500Θe850にCpをかけるとエネルギーになります。

Cp×Θe500Cp×Θe850Cp× T500Cp×T850´
            +L×E500/(P500E500) L×E850´(P500E850´
両辺をCpで割って
Θe500Θe850
  T500T850´+(LCp×E500/(P500E500) E850´(P500E850´)}
  一般に水蒸気の分圧はちいさく P500E500P500 P500 E850P500ですから

      =T500T850´+(LCp× E500E850´)/P500

Θe500Θe850T500T850´+(LCp× E500E850´)/P500 
      …SSI T500T850´ですから…
      =SSI+(LCp× E500E850´)/P500  (1-5
となります

湿度は100%ですので温度が決まれば水蒸気圧が決まってしまいます。

結果、温度が高ければ水蒸気圧も高くなります
T500T850´<0なら  E500E 850´<0
T500T850´>0なら  E500E 850´>0
となります。

また(1-5)から
T500T850´<0なら Θe500Θe850<0
T500T850´>0なら Θe500Θe850>0
となります。

T500T850´は定義からSSIT500T850´ですので
SSI<0なら Θe500Θe850<0
SSI>0なら Θe500Θe850>0
となります。

E500は仮想的水蒸気圧ですので湿らす必要はありますが、1-5)の両辺にCpを掛ければエネルギーの差であることを意識して下さい。
温位エマグラムはエネルギー保存則から求められているのです。
Θe500Θe850SSI<0なら500hPa以上の高さにどの位のエネルギーを放出できるのかがわかります。

グラフから明らかなように、どこの高さの飽和相当温位や相当温位を読み取れますから、下層からどの位のエネルギーを上空に放出できるのかイメージできます。

2.大気の状態不安定による大雨(200884日~89日)

5 日には東京都豊島区で下水道工事中の作業員がマンホール内で流され、5 名のかたが死亡された例です。
現象の詳細は「災害をもたらした気象事例」を参照してください。


下のグラフは8409時舘野の気圧/水蒸気圧温位エマグラムです。



データは気象庁のHPより取得しました。

温位エマグラムを見ると高度1000mで湿って、この高さに積雲が形成し始めているかできていると思われます。
私は、水蒸気圧は拡散(エネルギーを加えれば分圧比が一定になろうとする性質)と氷の粒=雲粒の相互作用で決まるだろうと思っています。
この日の水蒸気は気圧/水蒸気圧から3000m程度まで拡散が支配的な領域だと思われます。 
(また、温位から1500mまでは空気水蒸気はよく混ざるっていると思われます)

すこし、細かくみると
高度800012000mの飽和相当温位は344kで、一方、地表から高度1000mまで相当温位は349k以上となっています。
高度800012000mからみれば地表から1000mに過剰なエネルギーが溜まっていることがわかります。
どのようなメカニズムかわかりませんが、現実には対流が起こり、積乱雲が発達しました。また、温位エマグラムから雲頂高度(雲の高さ)は12000m以上に達する可能性があることがわかります。

観測時間は午前09ですから、これから日射により地表付近にはエネルギーが加わります。
日射は地表面を温め、地表面が空気を暖める手順を踏みますからエネルギーは山肌に沿って時間とともに上っていきます。
山梨県と静岡県の県境には4000mクラスの富士山があり気象観測がおこなわれています。
次のグラフは当日富士山の温位と相当温位です。


予想資料を私は持ち合わせていないので想像になりますが、富士山の相当温位が345k以上になれば下層から上昇してくる空気は12000m以上まで持ち上がると考えられます。

421時の舘野の観測値は

で不安定な状態は依然続いています。

850hPaの高度は約1500m、500hPaは約5500mです。SSIがマイナスであると読み取れるでしょうか?。
SINCAPEをご存じの方はSINが小さく、CAPEがとてつもなく大きくなりそうだと判断できると思います。
(自由対流高度が低く、雲頂は14000m以上まで達する)

509時の舘野の観測値は

地表から2000m近くまでの空気が12000m程度まで上昇してもおかしくない分布となっています。
日射によるエネルギーは水蒸気に変わり、そのまま上空に放出されると思える恐ろしさを感じます。
1150分までの1時間に72ミリの豪雨が千葉県成田で観測されています。
521時になると監視は必要ですが地表付近のエネルギーはやや解消されたようです。


次の事例は報告では一緒に扱われていますが、下層暖気の移流が疑われる事例です。
86日大阪府枚方では1740分までの1時間に71.5ミリの雨が観測されています。

869時潮岬の観測値は


地上付近の空気から自由対流高度は1000m程度です。
かなり高いと思われるかもしれませんが、この高さの温位は308kです。
地表付近の温位が308k(地表温度35℃位)になれば1000m程度まで等温位(等エントロピー)になると考えられます。
(等温位層が上空に広がる様子は「一般気象学」(小倉義光著 東京大学出版会)P156の図6.25を参照)

こうした等温位の状態になれば日射によるエネルギーはそのまま上空に放出されると考えられます。
(等エントロピーになると水蒸気も理想気体の性質を持っていると考えます。「ギブスのパラドックスと大気成分」で検討したように水蒸気の分圧比は高さに同じになるように分布する・・・水蒸気のエネルギーも上空に輸送されると考えられます。・・・) 
画像は省略しますが、雲の発達の様子をみると、単に日射によるエネルギーだけではなく、下層で(925hPa(高度約750m)や850hPa1500m))海上から暖気が入ったのかもしれません。
暖気が入っていたとすると、私の経験からその様子はモデルで表現されていたと思います。





3.雑感

相当温位をエネルギーとみなすことは重要なことだと思います。また、飽和相当温位はエネルギーを溜める器であると見なせます。
地表付近の温度が上がることは、地表付近の飽和相当温位を上げることになりますから、地表付近に溜まるエネルギーを大きくします。

それでも、日本のように山岳の多い地形では山肌をとおり地表付近に溜まるエネルギーは上空に逃げやすい構造になっていると考えられます。

しかし、エネルギーが上空へ逃げにくい海上では温暖化とともに指数関数的にエネルギーが表面付近に溜まりやすくなります。
台風が巨大化すると考えてよいと思います。

相当温位をエネルギーとみなす気象学者がどの程度いるのか、温暖化について地表面の温度だけを調査しているのではないかと心配です。

地表付近の温暖化とは、どの程度地表付近にエネルギーが溜まってきているのか、地表付近の相当温位が高くなっているのかを調査しなければならないはずです。

「現在は、こうしたまともな調査も行われず、いい加減な物理モデルで温暖化の予想をしている。」

現在は、そうした状態だと思います。

最近では温暖化対策の掛け声が小さくなり、環境対策と名前を変えつつあるように思います。

12年前は日本のどこかの政党が「CO2削減」と町のそこら中にポスターを張りまくっていたのですが最近はみかけません。

電気自動車などは「温暖化対策」が「環境対策」に変わった典型でしょう。
というより、「環境対策」に名を借りた「経済対策」のように私には思えます。

昨年の夏、猛暑の中、秋葉原を歩いていると電気販売の大型店が入口のドアを取り払い冷気を通りに送りだして客を誘っていました。
CO2削減をうたい文句にクーラーを売っているのですが、・・・私にすれば、地表面を温暖化させながらクーラーを売っているとしか思えませんでした。
過失ですが、非難されるべき商売だと思われます。

「こうした商売を批判できない政府やマスコミこそ非難されるべきか?」とも思います。

電気は蓄積しにくいエネルギーです。
電気自動車は、走らなくともエネルギーを消費する車であることは認識しておくべきです。
電気自動車は秋葉原のクーラー販売のような非難されるべき商売になっていないのか政府に聞いてみたい気もしますが、一人一人が自分で判断すべきなのでしょう。


マスコミの科学担当さんもマスコミの持つ責任を再認識する必要があるのではないかと思います。

今は、「経済対策」で失敗した教訓を生かせるのかの瀬戸際のように思われます。

しかも、今度の失敗は先進国だけの話ではなく全世界的な失敗になるのかもしれないのですから・・・

環境省の方はそうした危機感は持っていらっしゃるとは思いたいのですが・・・




2011年1月9日日曜日

沿岸前線と等相当温位

If you need English, please look for the next page.

Structure of Typhoon by Potential Temperature emagram, etc.




温位エマグラムを見慣れると2つのパターンが気になります。
高さによらず同じ温位になる分布と同じ相当温位となる分布です。
温位が同じ空気は理想気体として等エントロピー、相当温位が同じ空気は水蒸気を含めて近似的に等エントロピーになっているケースと考えられます。
関東地方で沿岸前線が形成されるとき、高さによらず湿度がほぼ100%で相当温位が同じとなることがあります。
こうした鉛直分布は雷を伴い激しい雨をもたらす危険信号です。
ここでは沿岸前線を材料に考えたいと思います。

1.等温位
次の温位エマグラムは2011010821時の舘野の様子です。


100m以下に薄い寒気が溜まり、寒気の上1000m付近まで同じ温位=等温位になっています。
温位は圧力1000hPaを基準に
 θ(z)=T(z)+(mg/Cp)(z-z1000
でした。
しかし、これではz1000の不確定性が残ってしまいますので
1000hPaではなく地表面(海抜0m)を基準に

 θ(z)=T(z)+(mg/Cp)z (1-1

と定義すれば、解析的に扱うことができるようになります。
等温位ならdθ(z)/dz=0で、dT(z)/dz=-(mg/Cp)で乾燥断熱減率となります。
乾燥断熱減率は空気の成分を理想気体として静水圧平衡を仮定して求めたものでした。
ここで、相当温位≠温位ですので水蒸気がないわけではありません。
水蒸気があっても乾燥断熱減率と同じになることがありますので、「乾燥断熱減率」と言う呼び名は適当ではないのかもしれません。
等温位は理想気体が前提ですから水蒸気は理想気体として振る舞っていると考えられます。

大気成分とギブスのパラドックス」で論じたように、理想気体成分は分圧比が高さによらず一定です。
高さZの水蒸気圧、圧力をE(z)、P(z)とすると

E(z)/P(z)=Const1

となっているはずです。
下のグラフはP(z)/E(z)をプロットしたものです。
PP0EXP--∫(mg/RT)dz´
(積分範囲は0からz)
と静水圧平衡を仮定すると地表付近から1000m程度は
EZ)=Const1×P0EXP-∫(mg/RT)dz´
となっていると考えられます。

次のグラフは、2011010821時の舘野資料からP(z)/E(z)をプロットしたものです。

温位エマグラムに戻ると、地表から1000m付近に向かって相当温位と飽和相当温位の差が小さくなって(湿って)います。 
 地表には冷たい寒気があり上昇流など考えられません。拡散により1000m付近が湿ったと考えられます。

2.沿岸前線
 このように、関東平野では地表付近に寒気が溜まり次第に上空が湿ってくることがあります。
それが極端になると寒気の厚さは500m程度に達し、温かい海上との間で沿岸前線と呼ばれる地形的な前線を形成します。
 下のグラフは、舘野で20061149時の観測値から作成した温位エマグラムです。




舘野 200611409

地上から500mに寒気が溜まっていますが5006000mの相当温位は310311kとほぼ等相当温位になっています。
下の図は沿岸各地の1409時のモデルの予想です。

詳細は省略しますが、関東地方の沿岸部を中心に6000m付近まで約310315kの等相当温位の巨大な空気の塊が乗っていました。

こうした温位エマグラムをみると、地上で海上から相当温位315k以上の暖気がはいると、その暖気は一気に6000m程度まで上昇すると考えられます。
雷を伴った激しい雨が降る要注意のサインです。

また、このとき1000hPaで次のように解析されていました。


駿河湾から相模湾・東京湾を抜けて銚子にかけて相当温位の集中帯が沿岸前線に対応しています。
次の図は当日15時の地上解析です。
そして次の図は当日18時の実況です。緑の315線は地上の相当温位315kを意味しています。

地上の相当温位310320kの間で雨粒のレーダーエコーが強まっていることがわかります。
おそらく、地上の付近の空気が一気に鉛直方向へ6000m程度上昇していると考えられます。




3.参考に・・・
 まだ、煮詰まっておらず、数式をいじっている段階ですので流し読んで下さい。

1000hPaを基準に温位は
 θ=T(z)+(mg/Cp)(z-z1000
 相当温位
 θeT(z)+(mg/Cp)(z-z1000)+{e(z)/P(z)}L/Cp
 でした。
 これは静水圧平衡(平衡状態)達した大気についての定義ですので、実際の大気に適用するとz1000の値が気圧面毎に違ってしまします。
 ここで、1000hPaではなく地表面(海抜0m)を基準に
 θ(z)=T(z)+(mg/Cp)z           (3-1
 で相当温位は
 θe(z)=θ(z)+{E(z)/(P(z))}LCp   (3-2
 と定義できます。

 このよう定義をすると大気の鉛直分布を解析的に調べられる可能性が出てきます。

舘野200611409時のように、約湿度100%で相当温位が高さによらず一定になるなどという現象が偶然に起きたと考えにくいことです。
さて、水蒸気圧E(z)は露点温度の関数ETd(z))とみなせます。
湿度100%では温度と露点温度とは同じになりますので、水蒸気圧ET(z))ともみなせます。
こうしたケースでは相当温位(3-2)は
θe=θ(z)+{ET(z))/P(z)}L/Cp (3-2)´
となります。
また、等相当温位ですから
θe(z)=Const
となります。
3-2)´をzで微分すると
dθe(z)/dz=0ですので
dθ(z)/dz+(LCp)×d{ET(z))/P(z)}/dz=0 (3-3
となります。

式が見難くなりました。まず、
Q(z)= ET(z))/P(z)
としましょう。(3-3)は
dθ(z)/dz+(LCp)×dQ(z)/dz=0 (3-3)´

dQ(z)/dzですが、
dQ(z)/dz=
1/P(z))(deT(z)/dz)-(E(T(z))/P(z)2)(dP(z)/dz)
です… 見難いですね、しかたがないのでP(z)=P、T(z)=T、E(T(z))=E(T)と書きます

dQ(z)/dz
     =1/P)(dET)/dz)-(E(T)/P2)(dP/dz)
          =(1/P)(dET)/dz)-(Q(z)/P)(dP/dz)

ここで、dET)/dzやdP/dzを計算しなければなりません。

天下りになりますがP

PP0EXP(-∫RT/mgdz´) (3-4
(積分範囲は0Z


で近似してよいと思います。
これは
dP/dz=-(mg/RT)P (3-4)´
となります。(静水圧平衡で近似しているだけです)

E(T)はクラペイロン―クラジウスの公式から
ET)/dT=L/T⊿v≒L/Tv 
で、Ev=RT(理想気体)として
ET)/dTETL/RT2 3-5
とします。

以上からdQ(z)/dzは(3-4)´
dQ(z)/dz
    =(1/P)(dET)/dz)-(Q(z)/P)(dP/dz)
    =1/P)(dET)/dz)+(mg/RT)Q(z)
となり、dT/dT=1を使って1項目を変形すると
    =(1/P)(E(T)/dT)(dT/dz)+(mg/RT)Q(z)
となり、3-5を用いると
    =(1/P)(dT/dz)E(T)(L/RT2 +(mg/RT)Q(z)
    ={(dT/dz)(L/RT2 )+(mg/RT)}Q(z)

3-1)からdθ(z)/dz=dT/dz+mg/CpですからdT/dz=dθ(z)/dz-mg/Cpですから

   ={(dθ(z)/dz-mg/Cp)L/RT2 )+(mg/RT)}Q(z)
となります。これを(3-3)に代入すると

dθ(z)/dz+(LCp)×{(dθ(z)/dz-mg/Cp)L/RT2
                +(mg/RT)}Q(z)         =0

dθ(z)/dzでまとめると

1+(L2/RT2 Cp)×Q(z)}dθ(z)/dz
         +LCp)×{-mgL/CpRT2 +(mg/RT)}Q(z)0

これからdθ(z)/dzは

dθ/dz=
 LCp)×{-mgL/CpRT2 +(mg/CpRT)}Q(z)1+(L2/RT2 Cp)×Q(z)}

     =
  -{-mg(L2/RT2 Cp2)+(LCp)(mg/CpRT)}Q(z)/{1+(L2/RT2 Cp)×Q(z)}

     =-{-mg/Cp+(TL)mg}QZ)/{RT2CpL2+Q(z)}
       ={mg/Cp-mg(TL)}/{RT2CpL2Q(z)11

     Q(z)=ET)/Pと定義したことを思い出すと

     ={mg/Cp-mg(TL)}/{(PERT2CpL21  3-6)   


Cp= 29.1 J/mol K
R= 8.314 J/mol K
L46620 J/mol
T220320K
PE=100~数1000
とするとmg(TL)はmg/Cp1020%で(PeRT2CpL21100程度になるようです。
…申し訳ありませんが(3-6)これを確かめる気力は私にはありません。計算もなにかあやしい…
ともかく(3-6)が誤っていてもdθ/dzについて物理的な考察を加えるべきと思います。

ここで申しあげたいことは、
1.     鉛直的に等温位になるのは、水蒸気が理想気体とみなせて比エントロピーがどこでも同じになるわけですから、大気にはこうした状態に向かって変化する傾向があるだろうということ。*

2.     湿度100%(湿って)で鉛直的に等相当温位とは、比エントロピーがどこでも同じだと言うことですから、こうした状況に向かって大気の状態は変化する傾向もあるだろうということ。
です。
 
高気圧のなかでは鉛直方向の相互作用は、この2つの鉛直分布がおそらく基本になり鉛直分布になんらかの法則性を見出す可能性があると思われます。

LUMIX DMC-FX35で撮影しました

*温位エマグラム(2011010821時の舘野)をみると等温位になってはいますが、等相当温位にはなっていません。
このときの温度減率は0.0090(℃/m)でした。


E(z)/P(z)=Const1と置けるとするとdθe/dz=0となり相当温位も等相当温位になっていなければならないはずです。


厳密に等温位になっているか?というと1k程度の違いはありました。
この違いが、dθe/dz=Constになっているのかもしれません。


このあたり、まだまだ考えなければならないこと(謎)があります。